新規の賃貸借契約において不動産の賃料を求める鑑定評価の方法

掲載日 : 2013年12月28日

不動産の賃料を求める鑑定評価は、新たな賃貸借契約における賃料(新規賃料)と既に契約している賃料(継続賃料)とで求める方法が異なります。

新規賃料とは
新規の賃貸借契約において貸主と借主との合意により成立する賃料をいいます。
多数の市場参加者(貸主と借主)が存在する中、自由に不動産を選択することができるという自由競争のもとで形成される賃料です。

貸手にとって借主を新たに募集する際に設定する賃料であり、収支計画を検討する重要な指標となります。

新規賃料を求める方法には、積算法・賃貸事例比較法・収益分析法の3つの方法があります。

積算法とは
現時点において(※)、対象となる不動産の価格(基礎価格)を求めます。
※正確には評価すべき時点(以下同じ)。
ただし、賃貸借契約により使用方法が制約されている場合には、求めた価格に契約による減価を行います(契約減価)。

次に、この基礎価格に期待利回りを乗じて、必要諸経費等を加算することにより不動産の賃料を求めます。
また、積算法により求めた賃料を積算賃料といいます。

この方法は、投下資本に対する期待収益を表すことから、オーナー側の視点において説得力があると言えます。

賃貸事例比較法とは
実際に成約した新規の賃貸事例を収集して、適切な賃貸事例を選択し、これを基礎にして不動産の賃料を求める方法です。

ただし、賃貸事例は過去のものなので、現時点とは賃料水準が異なる場合には、これを修正する必要があります。また、賃貸事例の地域と対象不動産の地域では賃料水準が異なる場合、地域の比較を行って賃料水準を調整する必要があります。その他補修性などを行って賃料を求める方法です。

また、賃貸事例比較法により求めた賃料を比準賃料といいます。
なお、賃貸事例は、賃貸形式(フロア貸し・一棟貸しなど)、賃貸面積(壁芯・内法)といった契約内容の類似性に留意して選択する必要があります。

この方法は、賃貸事例が豊富にある場合においては、実際に成約した賃貸事例により求めるため、市場性を反映しており、説得力があると言えます。

収益分析法とは
不動産鑑定評価基準では、一般の企業経営に基づく総収益を分析し、対象不動産が一定期間に生み出すであろうと期待される純収益を求め、これに必要諸経費等を加算して求める、とされています。

ただし、実務上では、商業施設・ホテル・高齢者施設といったオペレーショナルアセットタイプの賃料評価に多く用いられます。
この場合、売上高から営業利益を算定し、負担できるであろう賃料水準を把握することにより賃料を求めます。

また、収益分析法により求めた賃料を収益賃料といいます。

なお、一般的な居住用不動産や賃貸用不動産に適用されるケースは少ないと言えるでしょう。

【コラム執筆者】
株式会社クラヴィス鑑定事務所
不動産鑑定士 伊東 玉喜