中小企業の事業承継③早期の方針決定の重要性

掲載日 : 2013年12月20日

事業承継には、いわゆる「親族内承継」の他、親族以外の者(有力な従業員など)に承継させる「親族外承継」、企業の経営権自体を第三者に売却する「M&A」のパターンがあります。

重要なことは、いずれのパターンを用いるにしても、方針を最初に明確に定めることです。なぜなら、例えば親族内承継とM&Aでは、具体的に行なうべき対策が全く異なるのみならず、方向性として真逆の対策を行なう必要性が生じることもあるからです。

親族内承継とM&Aの比較における方針の重要性
例えば、親族内承継を行なう場合、行なうべきは主として相続対策です。
すなわち、経営者(親)の保有する株式などを、いかにスムーズに、かつ、税負担などが少なくなるように、後継者(子)に承継させるかという対策です。しかし、相続税は、相続する財産の価値が低いほど負担も少なくなりますので、税負担を減らすためには、例えば毎年度の利益を出し過ぎないように調整するなど、企業(株式など)の価値が少なくなる方向で行なう必要があります。

これに対し、M&Aの場合は、少しでも自分の企業を高く評価してもらうことが重要となりますので、当然ながら、経営合理化で利益率の向上を図るなど、企業価値を高める方向で対策を行なうことになります。

そうであれば、当初は親族内承継を行なうつもりで対策を行なっていたのに、途中から方針を変えてM&Aの相手を探すということになれば、従前行なっていた親族内承継を前提とする事業承継対策が無駄になるのみならず、かえってM&Aの足かせとなりかねません。

このように、せっかく行なった事業承継対策がちぐはぐなものとなってしまわないようにするためにも、生じうる紛争やトラブルを事前に予測し、方針決定の段階から、弁護士など専門家のアドバイスを受けるのが確実です。もちろん、贈与税・相続税など課税対策は必須ですので、税理士・公認会計士とも連携できる、専門性の高い弁護士に相談するのがベターです。

【関連コラム】
中小企業の事業承継①親族内承継の問題点と現状分析
中小企業の事業承継②現経営者の相続が発生した場合における注意点

【コラム執筆者】
ソラリス法律事務所
弁護士 松村 直哉