中小企業の事業承継①親族内承継の問題点と現状分析

掲載日 : 2013年12月16日

皆さんこんにちは。弁護士法人飛翔法律事務所の弁護士の松村です。
今回は、私どもの事務所でも数多くのセミナーを行うなど専門的に取り扱っております、「事業承継」について考えてみたいと思います。

事業承継の問題点~対策はお早めに!
2013年版の「中小企業白書」によれば、中小企業の経営者の平均引退年齢は上昇傾向にあり、特に小規模事業者においては約70歳となっています。

ところが、多くの経営者が自分の引退後も事業を継続させたいという思いを抱きながら、実際には中小企業の7割が後継者の不在に悩んでいるとの調査結果(帝国データバンクによる)があるなど、我が国の中小企業の後継者不足は極めて深刻な状況となっています。
そのため、国も事業承継をスムーズに行なえるようにするための施策を進めております。

その一方で、親族内での事業承継を考えていたとしても、実際には「息子はまだまだ経験が足りず、完全に引退するのは難しい。」とか、「息子に会社の借金や個人保証を背負わせるには、事業の将来性に希望が持てない。」などと考えてしまい、なかなかバトンタッチに踏み切れないという経営者も多いようです。

しかし、経営者が突然の病気や事故で、会社の経営が続けられなくなれば、承継できるはずの事業もその時点で「強制終了」してしまうこともあり得ます。また、親族間に確執がある場合などでは、事業承継をスムーズに行なうためには、時間をかけて粘り強く相続対策や親族の説得などをしなければなりません。一方、会社が債務超過に陥っているなどの理由で、あえて承継させる価値は乏しい場合には、なるべく早いうちに清算したほうが、結果的に多くの資産を残すことができるかもしれません。

つまり、経営者としては、自分の会社にどのような将来を望むかにかかわらず、事業承継の対策は、一日でも早く始めたほうがいいのです。

親族内承継における現状分析
それでは、事業承継のために、経営者としては何をすればいいでしょうか。
例えば、現経営者が、会社を自分の長男を後継者と決めた場合を考えてみます。いわゆる「親族内承継」、つまり経営者の親族に承継させるという事業承継のパターンの典型例です。

まずは現状を正確に分析することが重要ですので、手始めに次のようなデータを集めて現状を分析することから始めてみましょう。
次回、このデータを踏まえ、現経営者の相続が発生した場合における注意点を検討していきます。

会社の状況 株主と持ち株数
役員(取締役・監査役)の構成
会社の資産・負債の状況
代表者の保証の状況
売上げの推移と今後の見通し
後継者の社内での地位・評価
親族の状況 現経営者の個人資産の内訳
現経営者の相続人(いわゆる法定相続人)の確認
相続人間の人的関係(仲がいいのか悪いのか、密接か疎遠か)
後継者以外の相続人と会社との関わり
予想される後継者以外の相続人の不満
現経営者の遺言の有無

 

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【コラム執筆者】
ソラリス法律事務所
弁護士 松村 直哉