内容証明郵便の利用について-受取人の不在や受領拒否による返送への対応策

掲載日 : 2013年12月13日

賃貸マンションや駐車場などのオーナーさんにとっては,借主が長期間にわたり賃料を滞納することになれば,由々しき事態になります。オーナーさんとしては,滞納賃料の支払を催告し,それでも支払がなければ,賃料不払を理由に賃貸借契約を解除する必要があります。通常,そのような場合に利用されるのが「内容証明郵便」です。

内容証明郵便には,後日の訴訟等に備えて,意思表示をした事実,内容,時期等を立証するための証拠を残しておけるという効用があります。
もっとも,相手方が内容証明郵便を受け取ってくれないケース,つまり不達もありえます。

郵便物の不達の原因
1)受取人不在のため,保管期間経過により返送される場合
受取人が不在のときは,郵便配達員は,不在配達通知書(不在通知)を受取人宅の郵便受けに差し入れます。
郵便局での保管期間は,原則として,配達日当日を含めて7日間とされているようです。
その保管期間が経過しますと,郵便物は,差出人に返送されることになります。

2)受取人の受領拒否により返送される場合
受取人が郵便物の受領を拒否したときは,郵便物は,差出人に返送されることになります。

3)受取人の行方不明(転居先不明,「あて所に尋ねあたらず」)により返戻される場合
どのような原因で不達になったかについては,差出人に返送された封筒に貼られた付箋の記載によって判断することができます。

郵便物の不達時の対応策
内容証明郵便による遺留分減殺請求の通知書が保管期間の満了により差出人に返送されたという事案において,保管期間満了時に遺留分減殺請求の意思表示の到達があったものと認めた判例(最判平成10年6月11日民集52巻4号1034頁)もあります。

しかし,この判例の事案は,遺留分減殺請求に関するものであり,特殊な事情があったケースです。したがいまして,内容証明郵便が保管期間の満了により不達となった場合に,必ず意思表示の到達が認められるというわけではありませんので,注意が必要です。

郵便物の不達が予想される場合には,内容証明郵便を送付する時点で,内容証明郵便の本文中に,同文の書面を特定記録郵便でも発送した旨記載した上で,内容証明郵便と同一内容の文書を特定記録郵便で送付する方法があります。
特定記録郵便の場合,受取人の受領拒否,転居先不明等がない限り,受取人宅の郵便受けに郵便物が差し入れられます。
そして,特定記録郵便の封筒には郵便局でバーコードが貼られて,引受が記録され,ネット上で配達状況を確認することができます。

意思表示の到達とは,相手方が了知可能な状態におかれたこと,換言すれば,意思表示の書面が相手方の勢力範囲(支配圏)内におかれたことを意味するというのが判例(最判昭和36年4月20日民集15巻4号774頁)の考え方です。そのため,内容証明郵便と特定記録郵便を併用するという方法には有用性が認められると思われます。

【関連コラム】
内容証明郵便とは①概要
内容証明郵便とは②どんなときに内容証明郵便を使うのか

【コラム執筆者】
えにし法律事務所
弁護士 矢倉 良浩