共有物の単独使用に対する明渡請求と損害賠償請求

掲載日 : 2013年12月7日

前回のコラムでは,共有者がその共有状態を解消したいと考えた場合の方法についてご説明しました。今回は,共有者のうちの一人が共有物を単独で使用している場合に,他の共有者がとりうる手段についてご説明します。

共有不動産を共有者のうちの一人が単独で占有している事例で考えてみます。
まず,同不動産が共有物であることから,他の共有者からは共有物の分割を求めることができるのは前回ご説明したとおりです。
共有物分割の方法

明渡請求の可否
それでは,他の共有者は,単独で共有不動産を占有する共有者に対して,同不動産の明け渡しを求めることが出来るでしょうか。

この点,民法249条は,「各共有者は,共有物の全部について,その持分に応じた使用をすることができる」旨定めています。また,最一小判昭和41年5月19日は,明け渡しを求める他の共有者が多数持分権者であっても,単独で共有不動産を使用する共有者に対して明け渡しを求めることはできない旨判示しました。

このように,共有者は,共有物を単独で占有する他の共有者に対し,その明け渡しを当然には請求できません。

不当利得返還請求ないし損害賠償請求の可否
それでは,共有物を使用していない他の共有者たちは一切保護されないのでしょうか。
共有物の分割が完了するまで他の共有者の持分権が全く無視されることは妥当なのでしょうか。

そこで,共有不動産の共有者が,同不動産を単独で使用する他の共有者に対して不当利得返還請求ないし損害賠償請求といった形で金銭賠償を求めることができないかが問題となります。

【最二小判平成12年4月7日】
この点,最二小判平成12年4月7日は,「単独で占有することができる権原につき特段の主張,立証のない本件においては」という留保はつけたものの,不動産の共有者が,不動産を単独で占有する他の共有者に対し,自己の持分割合に応じて,占有部分に係る賃料相当額の不当利得金ないし損害賠償金の支払いを請求することはできる旨を明らかにしました。

したがって,共有者のうちの一人が共有物を単独で使用している場合,単独で使用している共有者が単独で使用することが出来る権原について主張,立証しない限りは,他の共有者は自己の持分割合に応じて,単独で使用する共有者に対して金銭賠償を求めることができることになります。

それでは,「単独で占有することができる権原」とは具体的に何を表すのでしょうか。
この点については,次回のコラムで紹介したいと思います。

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【コラム執筆者】
アクシス国際法律事務所
弁護士 三村 雅一