土壌汚染調査の手法①土地の履歴調査

掲載日 : 2013年12月2日

これまでは土壌汚染に関する調査についての概要や土壌汚染対策法(以下、「法」)ならびに条例による調査についてお話ししてきました。
今回からは、それらの調査についての具体的な手法についてご紹介していきます。

今回は、まず土壌汚染の調査の第一段階である土地の履歴調査について詳しくお話しします。

土地の履歴調査の目的
以前にも触れましたが、調査の対象となる土地の履歴を調べるのはその土地に土壌汚染を引き起こすような、主に人為的な行為があったかを確認するためです。

人為的でない、とはどういうことかというと、たとえばその土地が鉱山や温泉地、海や河川の近く等で、法に定められた有害物質が初めから基準値を超えているような自然的な要因を指しますが、その場合は大抵その地域の行政判断にゆだねることになりますのでここでは省きます。

また、通常農耕地から宅地にする際、盛土を行いますが、その盛土が明らかに汚染されているものだということでなければ、盛土も人為的な汚染には含みません。

土地の履歴調査
対象となる土地における土壌汚染のリスクを把握するためには、まずは土地の履歴の確認が重要になります。
現況において工場が建設されていたり、過去に工場が建設されていたことが明らかである場合、また売買契約において不要とされている場合は必要ないこともありますが、掘削や分析を伴う土壌汚染状況調査を行うと調査費用が高額になることや、契約後に汚染が発覚して問題となることもあり、最低限土地の履歴調査によって土壌汚染に関するリスクを把握する方法をとることが多いです。

具体的に何の資料をもって履歴を調べるのかというと、次の5つが挙げられます。
1)地形図
2)法務局資料(登記簿謄本)
3)住宅地図
4)空中写真
5)ヒヤリング

これらの資料を通して有害物質が使用されていた可能性のある建物(工場等)が存在していたかどうかを確認し、土壌汚染の可能性を探るのが土地の履歴調査です。
ちなみに、これらの資料は図書館や法務局、国土地理院、インターネット等から入手することができます。

1)地形図
明治時代から現在にかけてものが入手できます。
小学校の社会の時間に習ったのを覚えていますか。このお日様のようなマークを。

そうです。工場のマークですね。
このマークが対象地にあると、履歴上問題あり、となります。

2)法務局資料
これも場所によっては明治時代のものでも入手できます。
土地と建物の謄本がありますが、建物だと工場の記載があると問題ありですし、土地も所有者として○○工業等の企業名称があると、その企業がどのようにその土地を使用していたのか、社宅なのか事務所なのか工場なのかをさらに調査する必要があります。

3)住宅地図
場所により昭和30年代頃のものから入手できます。
これも工場や印刷所、クリーニング等の表記があると問題あり、となります。
ただし、「クリーニング」の表記があっても、単なる取次店では問題にはなりません。

4)空中写真
下の写真のように明らかに工場や何を保管しているかわからないような倉庫等であれば問題あり、となります。

5)ヒヤリング
行政確認はもちろん、所有者さんから問題のある履歴がないか確認を行います。

土地の履歴調査の注意点
履歴調査において注意しなければならないのは、あくまでも人為的(または自然的原因であると明らかな場合)な汚染の原因となりうる情報がないかを調べるものですので、履歴調査で情報として汚染の可能性はない、と判断されても実際にどうかはわかりません。
盛土等、なんらかの原因で有害物質の基準値をほんの少し超えてしまうこともあるため、履歴で問題がないからといって、念のために土壌汚染状況調査を行うと予想外な結果になることも考えられます。

確かに土壌汚染状況調査では数値としてその土地が汚染されているかどうかわかりますが、上記の理由と金額的な面から履歴調査において人為的な汚染がないことが確認されれば売買可能とする不動産業者は多いです。

また、仮にメッキ工場やクリーニング施設等の汚染原因となる履歴が確認されたとしても、特定の業種であればそこで使用されていた有害物質を推定し、それによって土壌汚染状況調査の費用を安く抑えることができることもあります。
そのため、いきなり土壌汚染状況調査を行うよりも履歴調査から始めることを私はおすすめしています。

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【コラム執筆者】
株式会社 三協エンジニア
土壌汚染調査技術管理者 稲垣優子

事務所HP :
http://www.sankyo-en.co.jp/