不動産の価格を求める鑑定評価の具体的な方法

掲載日 : 2013年11月29日

自動車や洋服など一般的な商品は同じものが多数存在しているため、価格を把握することができます。
これに対して、不動産は一般的な商品と異なり、一つとして同じものがなく、その価格を把握することは困難であるため、専門家である不動産鑑定士による鑑定評価を行うことにより価格を求めことが必要となります。

この場合、不動産も一般的な商品と同じように、費用性・市場性・収益性という観点から価格を把握するため、原価法・取引事例比較法・収益還元法という方法を使って価格を評価していくことになります。

  一般の商品・不動産 鑑定評価の方法
費用性 この商品(不動産)を作るのにどれくらいの費用がかかるのか 原価法
市場性 この商品(不動産)と似たものはどれくらいで取引されているのか 取引事例比較法
収益性 この商品(不動産)はどれくらいの満足度・収益が得られるのか 収益還元法

原価法とは
現時点において(※)、対象となる不動産を再び建築する場合に必要となる金額(再調達原価)を計算し、そこから対象不動産の老朽化などによる価値の減価を控除して(減価修正)、不動産の価格を求める方法です。
※正確には評価すべき時点(以下同じ)。

また、原価法により求めた価格を積算価格といいます。

新築を想定した再調達原価から、経年劣化に伴う減価やひび割れなどの減価を控除して積算価格を求めます。
対象不動産が土地のみの場合、再調達原価を求めることが困難であるため、この方法は適用しないことが一般的です。

取引事例比較法とは
実際に成約した取引事例を収集して、適切な取引事例を選択し、これを基礎にして不動産の価格を求める方法です。

取引事例は過去のものなので、現時点とは価格水準が異なる場合には、これを修正する必要があります。また、取引事例の地域と対象不動産の地域では価格水準が異なる場合、地域の比較を行って価格水準を調整する必要があります。その他補修性などを行って価格を求める方法です。

また、取引事例比較法により求めた価格を比準価格といいます。

対象不動産が土地建物から構成される場合、同じような土地建物の取引事例を収集することが困難なので、この方法を適用しないことが一般的です。

収益還元法とは
不動産から得られる賃料(収益)を算定し、これが将来得られる価値を現在価値に割引して評価を行う方法です。

収益還元法には、直接還元法とDCF法がありますが、ここでは直接還元法について説明します。
直接還元法は、標準的な収益(※)を還元利回りで割って収益価格を求める方法です。
利回りは高くなるほど価格が低くなり、利回りが低くなるほど価格が高くなるという関係にあります。
※全ての収益から諸経費を控除した純収益

また、収益還元法により求めた価格を収益価格といいます。

実際に賃貸されていない不動産には賃料(収益)がないですが、この場合でも賃貸を想定してこの方法を適用します。
しかし、対象不動産が戸建住宅など、賃貸の用に供されることが少ない不動産の場合、この方法を適用しないことが一般的です。

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【コラム執筆者】
株式会社クラヴィス鑑定事務所
不動産鑑定士 伊東 玉喜