共有物分割と税金(所得税・不動産取得税)

掲載日 : 2013年11月13日

相続が発生し、うまく遺産分割協議が整わず不動産を共有持分で取得する場合があります。
長男Aと次男Bが一つの土地を1/2ずつ共有持分で相続するようなケースがこれに該当します。

兄弟が仲良く共有のまま持ち続けている分には問題がありません。
しかし、共有で取得してしまうと、その財産を売却したりする際には共有者全員の合意が必要になる他、様々な制約があります。時の経過により世代交代した場合などには、話がうまくまとまらず、共有者同士が争うこともあり、結局もめ事に発展するケースがよくみられます。
共有物の使用・変更・保存・管理

さて、上記のケースでは、長男Aと次男Bの意思がうまくまとまらず、共有物分割を行うことになりました。
実際に長男Aと次男Bが土地を分割した場合、税金はどうなるのでしょうか?

所得税(所得税基本通達33-1の6)
1)持分に応ずる分割
『共有に係る一の土地についてその持分に応ずる現物分割があったときには、その分割による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う』

長男Aと次男Bが1/2ずつ共有している土地を、1/2ずつに分割したときは土地の譲渡はなかったものとなるので譲渡所得税などの課税関係は生じてきません
共有物分割は持分に応ずる権利が集約されたに過ぎず、資産の譲渡による収入(値上がり益)があったとはみられません。

なお、この場合、資産の譲渡がなかったものとする、という扱いであるため、税務署への申告も不要です。

2)時価比率が持分に応じていない分割
この場合には注意が必要になります。
土地の分割は、単純に面積比率が持分比率と一致しているかではなく、その分割後のそれぞれの土地の時価比率が持分比率と一致しているかどうかが問われるからです。
時価比率が持分比率におおむね一致していない場合には、譲渡所得税や贈与などの問題が発生してきます。
そのため実際に分割を行う際には、土地の分け方がポイントになります。

  所有者 面 積 時 価
甲土地 長男A 200㎡ 3,000万円
乙土地 次男B 200㎡ 1,000万円

面積は同じでも土地の形状等により評価は変わるため、時価比率は3:1となり、持分比率(1:1)とは一致しません。このような分割はBからAへの贈与があったものとみなされ、Aに贈与税が課税されます。

なお、この場合、1) とは異なり、分割を行った年の翌年(の2月1日から3月15日までの期間内)に税務署への贈与税の申告及び納付が必要となってきます。

3)時価比率を持分に合わせた分割
不動産の分割を行おうとした場合、単純に面積で分けてしまうと時価比率と持分比率が等しくならないことは、前記2)で述べた通りです。
原因としては、不動産は前面道路いかんにより時価が異なってくること、分割の方法によっては片方が不整形になることが挙げられます。

この場合、時価比率が持分比率になるように分割すると、面積比率が持分比率と異なることになります。

  所有者 面 積 時 価
甲土地 長男A 100㎡ 2,000万円
乙土地 次男B 300㎡ 2,000万円

時価は同じでも面積比率は1:3となり、持分比率(1:1)とは一致しません。このような分割は持分に応ずる権利が集約されたに過ぎず、資産の譲渡による収入(値上がり益)があったとはみられません。
そのため、上記のように時価比率が持分比率に応じている場合、面積比率とは異なったとしても課税上の問題は生じてきません。
よって、この場合、申告及び納付は発生しません。

不動産取得税
共有物分割による取得には、課税されません。
 (ただし分割前の持ち分を上回る部分の取得があった場合には対象となります。)

上記のように共有物分割を行う際には、税金面で優遇が受けられる部分が大きいですが単に面積だけで分割してしまうとかえって余計な税金が課されてしまうことにもなりかねません。
共有物分割にはいろいろなパターンが考えられるため、専門家への事前のご相談をおすすめします。

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【コラム執筆者】
遠藤あや税理士事務所
税理士 遠藤 亜耶