相続税の節税~生命保険の活用と不動産の活用|税理士 夫馬竜司

掲載日 : 2017年8月17日

2015年(平成27年)に税制改正により、相続税及び贈与税の申告・納税の対象となる人が拡大しました。
これまでは、相続税に関心が無かった人も否応なく、対策を立てる必要も生じています。
この場合における一般的な節税方法として、①生命保険活用、②不動産活用が取り上げられることが多く見られます。
以下、2つの節税方法の注意点を比較しながら見ていきたいと思います。

生命保険の活用
1)メリット
①相続税の非課税限度額の対象
「500万円(※)×法定相続人の数」によって計算した非課税限度額が認められるので、現預金で残すより保険という財産に変えることで節税効果が見込めます。
※死亡保険金の非課税の限度額
②納税資金の確保・遺産分割のトラブル回避
預金ならば、銀行口座が凍結され、相続人の一人が預金を下ろすことはできない(金融機関は他の相続人の同意を求めます)。
生命保険金ならば、遺産分割協議などに拘束されることなく、保険金受取人は死亡保険金を受け取ることができます。

2)デメリット
確かに相続税の節税に有効ですが、すでに非課税限度額の枠を使い切っている場合、当然生命保険の活用による節税効果は見込めません。
ご自分がどういった保険に加入しているか把握しておくことが重要です。

不動産活用
1)メリット
①相続税の計算
相続税の計算にあたり、不動産を他人に貸している方がその評価額を下げることができ節税効果が期待できます。例えば、遊休地の上に賃貸不動産を建築することにより節税効果が見込めます。
②賃料収入
健全な経営ができれば、賃貸オーナーとして毎月安定的な賃料収入を長期にわたり得ることができます。公的年金の代わりに老後の生活資金を目的とした賃貸不動産の保有も検討することができます。

2)デメリット
①換金性に欠ける
財産が不動産のみの場合、納税資金をどうするかが問題となる。また、遺産分割をするときに分けにくい。
②賃貸不動産リスク
賃貸不動産の経営を行っていくにあたり、リスクがつきものです。
一般的に借入を行って、賃貸不動産を建築すると思いますが、その経費と返済額をカバーするだけの賃料収入を確保できるのか長期的な賃貸経営の存続の可能性等を検討しなければなりません。
また、空室リスクや価値下落リスク、建物が古くなれば大規模修繕費がかかることも想定しておく必要があります。

まとめ
生命保険活用、不動産活用ともに節税効果は見込めます。
ただし、本当にこれらの活用が必要なのか、すなわち生命保険活用であれば、非課税限度額の枠はもうないのではないか、を冷静に判断する必要があります。
特に、不動産活用では賃貸不動産を建設して採算が取れるのか、不動産投資にはリスクが伴うため、マーケット調査も併せてよく検討する必要があります。

生命保険と不動産投資とを単純に比較して節税を考えるのではなく、まずは、ご自身の資産状況等を見直した上で検討されることをお勧めします。

【コラム執筆者】
税理士法人なにわ会計
税理士 夫馬 竜司