相続人がいない場合(相続人不存在)②特別縁故者への財産分与制度

掲載日 : 2013年11月11日

相続人がいない場合、亡くなった人(被相続人)の財産は国庫に帰属することになります。
ただし、「被相続人に相続人がいない」ことを一定の手続きを経て、法的に成立させた上、被相続人の債務があれば、これを精算し、最終的に残った遺産が国庫に帰属されることになります。

ただし、相続人がいない場合であっても、特別縁故者からの申立に基づき、相続財産の全部または一部を与えることができます。これを特別縁故者への財産分与制度と言います。

この制度は、遺言の不備を補完し、被相続人の意思の実現を図るためのものと言えるでしょう。
また今後、国に頼れない時代に子供のいない高齢者などの福祉対策の役割をも担う、一種の相互扶助としての役割も果たす制度としても期待されています。

特別縁故者とは?
特別縁故者として認められるのは、以下が挙げられます。

  • 相続人と生計を同じくしていた者
  • 被相続人の療養看護に努めた者
  • その他被相続人と特別の縁故があった者

例えば、内縁の妻や事実上の養子、被相続人の療養看護をした親戚や知人などで、民法で定めた相続人ではないにもかかわらず、まるで相続人かのような緊密な関係があった人を想定しています。また、個人だけでなく法人も認められます。
なお、上記①~③はあくまで例示であり、その間の順位はありません。

【相続人不存在確定後、特別縁故者への財産分与のながれ】

1.相続人不存在の確定

相続人である権利を主張する者がいない場合、相続人不存在が確定
相続人の権利の消滅

2.特別縁故者の相続財産分与の申立

相続人不存在の確定後、3ヶ月以内に特別縁故者による申立が可能

3.分与の審判確定

特別縁故者による財産分与の申立
相続人捜索の公告期間満了後、相続人の不存在が確定した場合、3ヶ月以内に特別縁故者は家庭裁判所に対し、財産分与の申立をすることができます。
※期間経過後の申立は認められていません。3ヶ月以内に限定されていることに注意して下さい。

また、特別縁故者が財産分与の申立をせずに死亡した場合、その地位は相続されないため、特別縁故者の相続人は財産分与の申立をすることはできません。

分与の審理確定
家庭裁判所は被相続人の意思を尊重し、被相続人と特別縁故者の自然的血縁関係の有無、生前における交際の程度、被相続人が精神的物質的に恩恵を受けた程度、死後における実質的供養の程度その他事情を勘案し、分与を行うか否か、または分与を行う場合でも残余財産の全部又は一部を対象とするかについて決定することになります。
もちろん、本当は特別縁故がない人に渡してはいけないので、裁判所で面接や調査があった上で裁判所から認められなければなりません。

【相続財産の分与を行うことが決定された場合】
特別縁故者の制度は、あくまでも相続人がいない場合です。
相続人がいなければ、特別縁故者に該当するであろう人も、調査の段階で相続人があることがわかると、特別縁故者の申立さえできないのです。

相続人がいないことが確定したうえで、相続財産の全部について特別縁故者が取得することが認められた場合は、財産の全ては特別縁故者に帰属することになります。

しかし、原則は国庫に帰属するのであり特別縁故者の制度はあくまで形見分けとして後からできた制度です。ですから相続財産の一部しか分与されないと考えておく方が無難です。
相続財産管理人は、裁判所の審判に基づき特別縁故者に故人の相続財産から支払いをすることになります。

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【コラム執筆者】
勝司法書士法人
司法書士 勝 猛一