相続人がいない場合(相続人不存在)①手続きの流れ

掲載日 : 2013年11月9日

相続人がいない場合とは
亡くなった人(被相続人)に配偶者や子供がいない、親や兄弟姉妹もいないといった場合、遺産を相続すべき法定相続人がいないことになります。

このように相続人がいない場合、被相続人の財産は国庫に帰属することになります。
ただし、財産が国庫に帰属するといえども、一定の手続きが必要となります。被相続人に相続人がいない、ということを法的に成立させた上、被相続人の債務があれば、これを精算し、最終的に残った遺産が国庫に帰属されることになります。

相続人がいない場合には、相続人全員が相続放棄をして、遺産を相続する者がいなくなったケースが含まれます。なお、長年行方不明の者がいる場合、失踪宣告をしていない限り、相続人がいないことには該当しません。※失踪宣告は死亡と同様の効果があります。

また、相続人がいない場合を法律用語で、「相続人のあることが明らかでないとき」といいます。

【相続人不存在の場合の手続きのながれ】

1.申立により、家庭裁判所が相続財産管理人を選任

相続財産管理人の選任の公告
公告期間:2ヶ月
相続人がいれば申し出るように促します。

2.相続財産管理人により、被相続人の債権者などに対する清算

相続債権者受遺者の請求申出の催告
公告期間:2ヶ月以上
債権者(被相続人にお金を貸している人)、受遺者(遺言により財産を譲り受けることになっている人)がいれば申し出るように公告

3.家庭裁判所が相続人捜索の公告

相続権利主張催告の公告
公告期間:6ヶ月以上
なおも相続人が現れない場合、捜索の公告

4.相続人不存在の確定

相続人である権利を主張する者がいない場合、相続人不存在が確定
相続人の権利の消滅

5.清算後の財産を国庫に帰属

借金の返済などの返済後、残余財産が国庫に帰属します。

相続財産管理人の選任
相続財産管理人とは、相続人がいない場合(相続人のあることが明らかでないとき)、相続財産の管理を行う者をいいます。相続財産管理人は、利害関係人や検察官の請求により、家庭裁判所により選任されます(民法第957条1項)。
一般には弁護士や司法書士等が選任されます。

家庭裁判所は、相続財産管理人が選任されたことを官報で公告し、2ヶ月にわたり相続人が名乗り出ることを待ちます(第一回目の相続人捜索)。

債権者・受遺者に対する清算
相続財産管理人選任の公告期間が経過しても、相続人の申し出がない場合、相続財産管理人は、2ヶ月以上の期間を定めて債権者や受遺者に申出るよう官報で公告します(民法第957条1項)。

債権者:被相続人にお金を貸している人
受遺者:遺言により財産を遺贈を(譲り)受けることになっている人

公告期間に債権者や受遺者からの申出があれば、公告期間が満了した後、まとめて清算手続きが行われます。

また、こうした期間も引き続いて相続人の捜索が続けられます(第二回目の相続人捜索)。

相続人捜索の公告
債権申し出期間が満了後、依然として相続人の出現が無い場合、相続財産管理人や検察官の請求により家庭裁判所が6ヶ月以上の期間を定めて、相続人権利主張催告の公告を行い、相続人を捜索します(第三回目の相続人捜索)。

ただし、この公告を行う際、相続財産が全て清算され、残余財産が無い場合においては、この公告を行う必要はないものとされています。

相続人不存在の確定
上記の6ヶ月以上の期間を経過しても、相続人が見つからない場合、法的に相続人の不存在が確定し、相続人の権利が消滅します(民法第958条の2)。

相続人がいることが判明した場合
相続人捜索の手続きの中、相続人がいることがわかった時は手続きは中断し相続手続きに移ります。
※その相続人が相続放棄などせずに相続を受け入れること(承認する)ことが必要です。
この場合、相続財産管理人がこれまでに行った清算行為の効力は失われません。

遺言の必要性
私は、多くの遺言書作成のお手伝いをしてきました。
その中で、相続人がいない方もいました。
結婚をしなかった、あるいは配偶者に先立たれたなどで子供がいない。自分は一人っ子で父も母も先に亡くなっているという場合です。

「もし私が遺言書を書かずに死んだら私の財産は国庫に行くのですよね。」と聞いてこられます。
「そうです、国庫に納入です。」と返事をすると100%の方が、遺言書を書きますと言われます。
自分がお世話になった方に自分の財産を渡したいという思いもあるでしょうが、政府や官僚が自分の大事な財産を「有効に使ってくれるとは、思えない・・・。」ということのようです。
日本は、政府や官僚が信用されていないことの現れですね。

何はともあれ自分の財産が国庫に納入されるより自分が、お世話になった方に、または日本ユニセフなどへ寄付したいと思われるのであれば遺言書でその旨を書いておきましょう。

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【コラム執筆者】
勝司法書士法人
司法書士 勝 猛一