限定価格とは│不動産鑑定士 伊東玉喜

掲載日 : 2017年8月11日

不動産の鑑定評価によって求める価格には、正常価格、限定価格、特定価格、特殊価格の4つの種類があります。

このうち、正常価格は簡単に言えば、一般の不動産市場において、取引当事者(買主・売主)が誰であろうと妥当性がある価格です。
鑑定評価にあたっては、通常この正常価格を求めます。

しかし、隣地を売買する場合や借地人が底地を買取る場合などにおける価格は、正常価格と異なることもあります。

限定価格とは
隣接する土地の購入を想定して説明しましょう。

限定価格とは

価格はいずれも正常価格

A土地の所有者からすれば、B土地を購入して、一体画地Cになれば、整形になる上、角地の恩恵を受けることができる、と考えるでしょう。
そうすれば、B土地の購入にあたり、一般の人が購入する価格より多くお金を支払っても、取得しようとするのではないでしょうか。

A土地 1,200万円

形状が悪い。B土地の購入により一体画地Cになれば、土地の効用UP(整形・角地)
B土地 500万円

一般の人は500万円(正常価格)で購入しようとするが、A土地の所有者は?
C土地 2,000万円

【B土地に支払える上限】
土地の効用がアップするのであれば、A土地の所有者は800万円までは支払っても良いと考えるでしょう。

800万円=C土地(2,000万円)-A土地(1,200万円)

一般の人がB土地を500万円で購入するところ、A土地の所有者は800万円までは支払っても良いと考えます。すなわち、一般の人より300万円多く支払っても、B土地を入手したいと思うのです。

【限定価格とは】
上記例のように、B土地は一般の人でも購入可能な不動産ですが(市場性がある)、A土地による不動産の併合という事情により、AとBという限定的な市場になってしまいました。
この限定的な市場では、取引当事者の誰もが妥当だと思う価格とは乖離する場合があります。
こうした場合、鑑定評価では「限定価格」として価格を求めます。

正常価格
市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。
限定価格
市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。
不動産鑑定評価基準、第5章より

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【コラム執筆者】
株式会社クラヴィス鑑定事務所
不動産鑑定士 伊東 玉喜