法人税法上の留保金課税とは?みなし役員とは?

掲載日 : 2013年11月1日

同族会社では、利益を適正に配当しない場合、租税回避となる可能性があるため留保金課税やみなし役員の規定が適用されています。

留保金課税
各事業年度の利益のうち社内に留保された金額が一定額を超えると、その超える部分に特別税率が適用され、通常よりも多くの法人税を支払うことになります。

同族会社でない会社は、一般に株主の評価を得るために配当金を多く支払おうとします。しかし、同族会社では、「配当金は会社の損金にならないし、配当を多くすると同族株主の課税所得が高くなる」と考えてしまうため、配当金を少なくする傾向にあります。しかし、それでは、配当していた場合に課すことができた税金が徴収できなくなり、課税上の公平性を欠くことになるため、特別に法人税を課すこととしています。

みなし役員
会社法において役員とは、取締役、会計参与、監査役をいいます。しかし、法人税法においては、登記されている役員とは別に「みなし役員」という規定があります。
みなし役員とは、法人税法においてのみ役員と同じ扱いをされる者のことをいいます。

従業員のうち、一定の要件を満たしている人で会社の経営に従事している人は役員とみなされて、その人に支払う賞与が損金に算入されないなどの規制を受けます。

同族会社の従業員(役員としての登記が行なわれていない者)のうち、同族会社の判定の基礎となる株主の同族関係者で次の要件のすべてを満たし、かつ、経営に従事していると認められる者は役員とみなされます。

  • その者が、その会社が同族会社であることについての判定の基礎となった上位3位以内の株主グループに属していること
  • その者の属する株主グループの持株割合が10%を超えていること
  • その者(配偶者を含む)の持株割合が5%を超えていること

行為計算の否認
法令に違反していなくても、課税の公平性が保てないと認定される同族会社の行為や計算は否定されることがあります。

同族会社では、意思決定の権限が特定の個人または親族に集中するため、法人税などの負担を不当に減少させる目的で恣意的な取引が行なわれやすくなります。そこで、同族会社の行為や計算のうち、非同族会社では通常行ない得ないような取引を否認して、通常の取引ベースで課税する権限が税務署長に与えられています。これが「行為計算の否認」という規定です。

【関連コラム】
法人税法上の同族会社とは?同族会社の判定
法人税法上の留保金課税のしくみ(特定同族会社)
法人税法上のみなし役員と使用人兼務役員の判定

【コラム執筆者】
田中豪経営会計事務所 / 船場中央税理士法人
公認会計士, 税理士 田中 豪