遺留分侵害額の算定│特別受益③計算方法

掲載日 : 2013年10月24日

留学費は特別受益にあたるか
このように考えた場合、先ず、あなたが受けた留学費1,000万円が特別受益にあたるかどうかが問題になります。これは単なる贈与ではダメで「生計の資本としての贈与」であることが必要ですが、お父さんが亡くなった時の財産は8,000万円相当のマンション甲と預金200万円ですから、1,000万円というのは相当な額として遺産の前渡しといえるので「生計の資本としての贈与」にあたるといえます。

そして、あなたは現在「アメリカで気ままに生活」しているということであり、むしろ本件では、あなたがお兄さんに遺留分侵害額を請求する方でお兄さんから請求されて生活に窮する訳でもないと考えられますから、平成10年3月最高裁判決がいう特段の事情(※)もないと思われます。
※特段の事情
「遺留分侵害額│特別受益②遺留分減殺請求の対象となるか」

遺留分額
ですから、遺留分額を算定するにあたって留学費1,000万円は考慮されます。
具体的には、あなたの遺留分額は、以下の通りになります。

遺留分算定の
基礎となる財産額
相続開始時の財産額+贈与額-債務額
5,200万円
=マンション甲8,000万円+預金200万円+留学費1,000万円
-借金4,000万円
遺留分額 遺留分の基礎となる財産額×遺留分の割合×法定相続分
-特別受益額(贈与額)
300万円
=5,200万円×1/2(※1)×1/2(※2)
-留学費1,000万円

※1遺留分の割合
直系尊属のみが相続人の場合:1/3(1028条1号)
その他の場合:1/2(1028条2号)
※2法定相続分
本件では子2人による相等しい相続分(900条4号)であり、1/2

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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

事務所HP :
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