競売物件の取得と住宅ローン|司法書士 脇田直之

掲載日 : 2017年6月14日

一昔前、「競売物件の取得」と言えば、不動産業者が中心でしたが、近年は、一般の人の取得も見られるようになりました。

一般の人が競売物件である戸建住宅やマンション取得する場合、マイホームとして取得することが想定されます。
確かに競売物件は市場価格より低いことが多いですが、物件総額は高額になるはずであり、現金で一括で支払える人は少なく、住宅ローンを利用したいところです。

では、一般住宅と同様、競売物件に対しても住宅ローンは利用できるのでしょうか。
結論から言えば、住宅ローンを利用できる可能性はあります

従前の競売物件の取引
従前は、競売物件を取得するための資金を金融機関から借りることは難しく、取得しようと思う人は自分で資金を調達する必要がありました。
この点が一般の個人が競売に参加しにくかった理由の一つであったと言えます。

また、競売物件を落札し、代金を納付しても所有権移転登記が行われるまで時間がかかりました。このため、落札した不動産に担保を設定し、金融機関でローンを組むことができませんでした。
金融機関の側からすれば、融資前に審査を行うのですが、競売物件の場合、落札できるか否かは不確定であり、不動産の事前審査をすることができないので、手続き上、仕方ないところもあったと言えるでしょう。

民事執行法82条
競売に参加できる人が限定されていたところ、より多くの取得希望者が競売に参加できるよう、民事執行法82条2項が制定されました(平成10年12月)。
民事執行法82条2項の一部を要約すると、「競売不動産物件の代金を納付すれば、所有権移転登記に必要な書類を遅滞なくその場で貰える」ということになります。

これにより、代金納付と金融機関の担保設定が可能となり、競売物件に対しても住宅ローンを利用することが可能になったのです。

法の整備により、多くの人が競売に参加できるようになり、競売の認知度が高まって気ましました。
このため、金融機関の中には、競売物件に対し、住宅ローンを提供するところも出てきました。

金融機関との交渉について
融資を行う金融機関が存在するようになったのも事実です。
しかし、一般個人は競売に関して経験も実績もなく、住宅ローン申し込みに対応してくれるか否かは難しいかもしれません。このため、競売物件の取得をするにあたっては、住宅ローンを利用したい金融機関に対して、競売物件取得に対応が可能か否か、事前に入念な打ち合わせをしておく必要があります。

この点、不動産競売に関する実績のある不動産業者などの専門家がサポートして介入している場合、金融機関はサポートを行う専門家の実績を判断材料とし、信頼性が高いと判断すれば、融資に協力してくれる可能性が高くなるでしょう。

理屈では、競売物件に対して住宅ローンを利用することは可能ですが、様々なハードルがあるのも事実です。

【コラム執筆者】
IS司法書士法人/IS行政書士事務所
司法書士, 行政書士 脇田 直之