寄与分⑦療養看護型(配偶者)

掲載日 : 2013年10月17日

寄与分は「共同相続人中」に「被相続人の療養看護…により被相続人の財産の維持又は増加」について「特別の寄与」をした場合に認められます(904条の2-1項)。

特に、被相続人の配偶者の場合、夫婦に互いに協力扶助義務があるため、被相続人の療養看護をしたといっても、それが協力扶助の範囲内であれば、寄与とは認められません。
※反面、協力扶助義務があるからこそ、配偶者の法定相続分は多く定められています。

相続人の配偶者の行為
寄与分とは、具体的相続分を算定するにあたって「相続人」間の公平をはかるためのものなので、寄与行為は「相続人」がしたものでなければならないとされています(904条の2-1項)。
ここで問題になるのが、相続人の配偶者がした行為が「寄与」といえるかであり、特に、療養看護は、専業主婦によって行われることが多いことから、寄与行為の類型の中でも、一番相続人以外の者による寄与が問題になり易いところです。

【配偶者の寄与分と専業主婦の財産権】
この点、療養看護を寄与として肯定することは、配偶者たる専業主婦の財産権(療養看護に対する報酬請求権)を侵害することになるという指摘があります。
寄与が認められると、具体的相続分の計算の中に入れられることになるため、配偶者の財産権が、寄与分という形を通じて、相続人のものになってしまうという主張です。

その主張ももっともなのですが、逆に、療養看護を寄与として否定してしまうと、配偶者としても、別途訴訟において療養看護に対する報酬請求をしなければ、療養看護に対する報いを得られなくなり、かえって不都合な場合も生じるでしょう。

ですから、例えば、配偶者である妻が相続人たる夫の寄与分という形で、自らがした療養看護の報いを得ることを希望するのであれば、これを肯定しても構わないと解されます。
この場合、「共同相続人の履行補助者」と称されることが多いですが、あまり高額になってくると、特に、一般的には配偶者等の受けた特別受益はみなし相続財産を算定する上で考慮されない(903条1項)ことの比較から、バランスを欠くことがあるので注意が必要です(松津節子「平成17年度専門弁護士養成連続講座・特別受益と寄与分」商事法務454頁以下)。

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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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