寄与分⑥相続人の経営する会社による寄与

掲載日 : 2013年10月16日

相続人の経営する会社が、被相続人に役員報酬等を支払っている場合があり、これを相続人の寄与といえるかが問題になります。

この点については、被相続人への給与・報酬の支払いは、あくまで会社からの支払いであり、相続人個人からの援助や贈与とは認められません。
このため、原則として、被相続人への給与・報酬の支払いは寄与分とは認められません。

仮に、被相続人への給与・報酬の支払いが相続人による援助や贈与と認められる場合であっても、被相続人が取締役の場合においては、必ずしも労働の対価である必要はなく、被相続人が就労していなかったとしても報酬を受け取ることができるケースがあります。その意味で、無償性が低く、特別な寄与といえないことが多いでしょう。
特に、被相続人が会社に不動産を使用させていたり、創業者等として会社に寄与していたという事情もある場合は、無償性そのものがなく、ましてや、特別の寄与とはいえないものといえます。

このため、寄与の判定にあたっては、給与・報酬が支払われていた実質的な事情を考える必要があります。

なお、会社という形態を使ったことにより、相続人個人が給与等を支払うのではなく、会社が支払うため、相続人個人の負担ではないという意味で、相続人が自分の利益を得ているともいえます。また、会社の経費扱いとする意味で、会社の利益を落として節税効果を上げるというメリットもあるかと思います。
このため、仮に寄与分が認められる場合であっても、その金額自体をそのまま寄与分として算定することには問題あると思われます。

参考:
松津節子「平成17年度専門弁護士養成連続講座・特別受益と寄与分」商事法務462頁以下

【関連コラム】
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寄与分⑧療養看護型(特別の寄与に関する目安と評価方法)
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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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