寄与分④財産給付型

掲載日 : 2013年10月14日

寄与分は「共同相続人中」に「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付…により被相続人の財産の維持又は増加」について「特別の寄与」をした場合に認められます(904条の2-1項)。
すなわち、寄与分が認められるためには、被相続人の財産の維持又は増加について、特別の寄与があることが必要となります。

無償の財産上の給付であること
「財産上の給付」については、労務提供型と同じく「無償」であることが要求されるものの「労務提供」の場合等と「比べて明快」とされています(坂梨「特別受益・寄与分の理論と運用」新日本法規302頁)。

その典型例の1つとして、以下を挙げることができます。
相続人が、被相続人に対し、被相続人の事業の開始、借金返済などのため、金銭を給付する場合があります。ところが、これが寄与分という構成を採ると、必ずしも提供された財産の全額について認められているわけではありません。出資価額のどの程度を寄与分として認めるかについては、一定の金額又は割合が当然に決まらず「裁量的割合」として事案ごとに個別に判断されることになります。

全額請求できる貸金にした方が有利な筈なのに?
ですから、このような給付がされた場合、寄与者にしてみれば、被相続人への貸金といった構成を採るほうが、その全額を請求できるという意味で、有利な筈であり、明快です。
にもかかわらず、何故、寄与分という構成が採られるのかというと、それが貸借といった財産上の請求権とは構成しにくい場合ということになるでしょう。

例えば、金額や費用を考えると訴訟をする程ではないと考えられる場合があるでしょう。また、貸金といえるためには金銭の移転と返還約束が必要ですが、それを立証する十分な証拠が存在しない場合もあるかと思います。
問題となっている財産的給付というものが、被相続人の事業の借入に対する「担保提供」というようなケースでは、「金銭を給付する場合」とは異なり被相続人がどの程度の利益を得たか明確にはできない場合もあるでしょう。ただ、そのような曖昧性のあるものでも認められるのは、純然たる権利ではないという寄与分の特殊性に基づくものですし、そのようなものであるが故に「明快」性にも限界があることになります。

 

財産上の請求権と寄与分との関係
前述したとおり「金銭給付型」の場合、これを貸金として財産上の請求権と構成することも、寄与分という身分関係上のものと構成することも可能で、実務では「選択的」な主張も認められています。ただ「二重取り」を認めるべきではないので、裁判所で認められるのは、その何れか一方ということになります。

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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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