寄与分③労務提供型

掲載日 : 2013年10月13日

寄与分は「共同相続人中」に「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付…により被相続人の財産の維持又は増加」について「特別の寄与」をした場合に認められます(904条の2-1項)。
すなわち、寄与分が認められるためには、被相続人の財産の維持又は増加について、特別の寄与があることが必要となります。

また、寄与分と認められる行為は「財産の維持又は増加」をさせる必要があるので、精神的な寄与があったとしても、寄与分は認められません。

特別の労務提供であること
被相続人の事業に関する「労務提供」については「特別」のものでなければなりません。特に、配偶者(890条)については、その潜在的持ち分を考慮して法定相続分が2分の1とされている上「互いに協力し扶助しなければならない」とされている(752条)ことから「特別」のものといえるには、より高いハードルがあります。

無償の労務提供であること
このような観点から、寄与分が認められる「労務提供」としては、条文で示されていないものの「無償」であることが求められます。
ただ、特に最近では「無償」による「労務提供」は考えにくいことから「工業化・商業化された都市中心部においては、この形態の寄与が主張されることはほとんどない。寄与が発生するのは、まだ農業などの一次産業が生きている郡部あるいは中小都市郊外部である」という指摘があり(坂梨「特別受益・寄与分の理論と運用」新日本法規284頁以下)その傾向は、益々進んでいくと思われます。

実務上の取り扱い
確かに、実務上は、完全な「無償」が要求されている訳ではなく、賃金センサス等を参考に、それよりも低額か否かによって判断されているようです。
例えば、確定申告書等から、事業の収益性が低いことが明らかな場合、賃金センサスに見合った給与等を寄与分として評価できないでしょうし、当該寄与をした相続人の家計簿等から、被相続人を通じた生活費等の入金がある場合も同様と思われます(片岡外編著「新版家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」日本加除出版株式会社299頁)。

労務提供型(従業員型)の寄与分の算定方法として、以下を上げるものがあります(松津節子「平成17年度専門弁護士養成連続講座・特別受益と寄与分」商事法務460頁以下)。

寄与相続人の受けるべき相続開始時の年間給付額×(1-生活費控除割合-α)
×寄与年数

このαというのが、前述した事業の収益性等を考えた控除額、裁量割合といったものですが、このαが増えるだけ寄与分も目に見えて減ってくるので、そのような意味においても「労務提供」による寄与は、期待する程のものは認められないのではないかと思われます。

【関連コラム】
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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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