共有物の使用・変更・保存・管理

掲載日 : 2013年10月8日

共有とは、二人以上の者が共同で所有していることであり、複数の者で「所有権」を有している状態のことをいいます。いろいろなものを共有することが考えられますが、本サイトで考えるにあたっては不動産に限って考えるのが一番と思いますし、わかりやすいと思われますので、以下不動産について書かせて頂きます。

土地建物といった不動産で、所有者が悩まれるもののうち、まずは、共有の不動産をどこまで使ってよいのかという「共有物の使用」が挙げられるでしょう。
次に、その共有状態にある不動産をどう維持するのかという「保存行為」や、不動産を他人に賃貸したり、一方の共有者に利用させたりする「管理行為」が考えられるでしょう。また、不動産を他人に売ったり、地目を変えたりする「変更(処分)行為」があるのではないかと思われます。

それでは一つずつ検討していきましょう。

共有物の使用(民法249条)
設例)ある不動産をAとBが共有していた場合、共有者Aはその不動産の全部について使用する権利を有している場合。

各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます。

ただし、この共有物である不動産を使用するという行為は、実は共有物の管理行為なのですが…我々法律家でも、案外ご存じない方もいらっしゃいます。つまり、共有物たる不動産に誰を住まわせるかについては、持分の過半数で決めていくことになります。共有状態の不動産使用については、この点をきっちりおさえておくといいでしょう。

共有物の変更・処分(民法251条)
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有部に変更を加えることができません。つまり、法務局で登記事項証明書(登記簿)をみたところ、実際は「宅地」であるのに、登記上の地目は「雑種地」であったからといって、共有者の一人が、勝手に地目を変更することは出来ないということになります。

また、もちろん共有者の一人が、共有物全体を売却するという処分を行うこともできません。

共有物の管理と保存(民法252条)
共有物の管理
共有物の管理は、共有物を利用・改良する行為となります。例えば、共有物を第三者に賃貸することや、その賃貸借契約を解約する場合等が挙げられます。この共有物の「管理行為」は共有者単独の判断で行うことはできず、持分の過半数で行うこととなります。

共有物の保存行為
共有物の保存行為とは、共有物の現状を維持する行為となります。例えば共有物の修繕や、所有権の保存登記などが挙げられます。

共有物の価値を維持することになるため、全ての共有者の利益となると考えられ、管理行為とは異なり、他の共有者の同意がなくても、共有者の1人が単独で行うことができます。

共有物の留意点
共有物たる不動産をめぐっては、上記のとおり「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」というところだけをみて、ここだけ、つまり「共有物件って各共有者が持分に応じて使用できますよね」というようにご質問をされる方もいらっしゃいます。

実際、私が不動産購入前後の相談を、不動産会社でもなく、銀行の住宅ローン担当でもない第三者として相談に応じる際には、このような質問もございました。

この場合、法律行為の、一部分だけのご質問であるため、その場合は「そのとおりです」ということになってしまうのですが、私は必ず上記のように「但し、共有物件については、その使用方法は管理行為といって、持分の過半数で決めることになっていますから、かならず協議してくださいね」というようなことを付け加えるようにしています。

しかし、このような決定をしていないことの方がほとんどであるような気がいたします。私のところにご相談に来られる方も、ほとんどのケースでは決めてらっしゃいません。この場合、実際に使用している方の民法249条の共有物全部を使用する権限と、他の共有者から、実際に使用している方への明け渡し請求が考えられるのですが、過去の判例を見る限り、他の共有者から、実際に使用を開始してしまっている共有者への、明け渡し請求が認められる可能性はそう高くないと思われます。

仲がいいからまぁいいか…ではおさまらない場合もありますので、きちんと取り決めをしておきましょう。

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【コラム執筆者】
アクアス司法書士・行政書士総合事務所
司法書士 和田努

事務所HP :
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