相続税対策における生前贈与の上手な活用方法

掲載日 : 2013年10月4日

平成25年度の税制改正法案が平成25年3月に成立し、なかでも相続税の増税による富裕層への負担増が話題となりました。
この改正により、平成27年1月1日以後に発生した相続については、最高税率が50%から55%へ引き上げられ、また非課税枠である基礎控除は大幅に縮小されることとなります。
相続税の大増税に備える、いわゆる相続対策の基本は”相続財産を減らすこと”であり、よく言われるのが「生前贈与」です。

この「生前贈与」を利用した節税の手法と注意点についてごくごく簡単にご説明したいと思います。

生前贈与とは
生前贈与とは、自分が生きているうちに財産をタダで他の人にあげること

節税の手法
贈与税の計算の仕組みのひとつ「暦年課税」には年間110万円の非課税枠があり、この非課税枠を利用して一年ずつ徐々に財産を相続人へ移していくことにより相続財産自体を減らしていく手法

「暦年課税」の計算方法
年間110万円までは贈与税ゼロ。
110万円を超える部分の金額について贈与税が累進課税で課される。

例えば111万円を贈与したとすると(111万円-110万円)×10%=1,000円となる。

生前贈与で相続税対策をした場合の効果
AさんがBさんへ生前贈与で相続税対策を行った場合と行わなかった場合の比較をしてみましょう。

相続税対策を
行った場合
毎年111万円ずつ10年をかけて贈与。
Bさんに移せた財産の総額は1,110万円。
贈与税のトータルは1,000円×10年間=1万円。
相続税対策を
行わなかった場合
上記の1,110万円が相続財産としてそのまま残っており、相続税が課される。
相続税率のうち最も低い10%(最高税率は55%)が課された場合、税負担は1,110万円×10%=111万円。

生前贈与で移していた場合とそのまま相続財産となった場合との差は110万円!
相続税率が10%以上であればその差はさらに広がることに・・・

生前贈与を行う場合の注意点
相続開始前3年以内に贈与した財産
相続税の計算の際に加算され、相続税が課されます。
・その際、過去に納付した贈与税は相続税から差し引かれるので二重課税にはなりません。
・一定のものについては、3年以内の贈与であっても相続財産に加算されません。
・相続や遺贈で財産をもらっていない人は3年以内の贈与であっても相続財産に加算されません。

贈与の事実を明確にしておくことが重要
・あえて110万円超の贈与を行い贈与税の申告をする
・贈与契約書を毎回きちんと作成する
・通帳や印鑑はもらった側で管理し、自由に使える状態にする等

相続税対策には様々なケースが考えられるため上記は一例に過ぎません。
相続財産の内容、相続人の状況等により有効な対策方法は変わります。
ベストな方法を選択するには、まずは専門家へのご相談をおすすめします。

【コラム執筆者】
遠藤あや税理士事務所
税理士 遠藤 亜耶