相続税の延納(分割払い)とは?①延納の要件|税理士 成田佳大

掲載日 : 2017年5月4日

相続税の延納とは
相続税の納付は、原則として金銭で一括納付する必要があります。
ただし、相続税額が10万円を超え、かつ、納付期限(基本的には相続税の申告期限である相続開始後10月以内)までに金銭で納付することが困難とする事由がある場合において、税務署長の許可を得て 、相続税を年払いで分割して支払う方法、延納により納付することができます。

ただし、延納をした場合、利子税 が発生することに注意する必要があります。

延納の要件
相続税の延納は、以下の要件全てを満たす必要があります。

①相続税額が10万円を超えること
②金銭で納付することが困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること
③申請書に担保提供関係書類を添付して、納付期限までに税務署長に提出すること
④延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること

相続税額が10万円を超えること
延納は相続人ごとに適用となります。例えば長男の納税額が60万円、二男の納税額が6万円のケースでは、長男のみが適用の対象となります。
また、修正申告等で追加に納付する税額が発生した場合でも、追加の税額が10万円以下の場合については、その追加で発生した税額部分については、延納の対象とすることはできません。

金銭納付が困難な事由があること(納付困難な金額が上限)
相続税は自分が相続した財産内から納めることとなりますが、相続財産内に不動産が多く、直ちに換金することが難しい場合があります。このような場合に、税務署長の許可を得て、延納を適用することができますが、金額に上限があります。 納付が困難な金額の範囲内となる金額、すなわち延納申請税額を計算する必要があり、以下の通りとなります。

延納申請税額=納付すべき相続税額-(A)-(B)-(C)-(D)

(A)現預金その他換金が容易な財産の価額(相続により取得した財産及び納税者固有の財産価額
の合計額から債務・葬式費用その他一定のものを控除した金額)
(B)3か月分の生活費
(C)事業に当面必要な運転資金の額(1 か月分)
(D)納期限に金銭で納付することが可能な金額

(B)と(C)の金額については、「金銭納付を困難とする理由書」に記載し、申請書に添付する必要がありますが、その金額については、記載内容や計算方法が定められています。住宅ローンなど現状を考慮する部分はありますが、その場合説明を求められることや、資料を別途提出する必要があります。

申請書を期限までに提出すること
延納を選択した場合、相続税の申告期限までに「延納申請書」に「担保提供関係書類」添付して、納税地の所轄税務署長に提出、許可を得る必要があります。
期限後申告、修正申告、更正または決定の場合にはこの税額を期限後申告、修正申告は申告書を提出した日、更正、決定については通知書を発した日の翌日から1月以内までに申請を行うことになります。

延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること
延納の適用を受ける場合には、担保が必要になります。
しかし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下の場合については、担保を提供する必要はありません。
担保物件としては、国債・地方債・社債、不動産などであり、相続により取得したもの以外の財産(例えば相続人固有の財産や第三者が有している財産)でも担保提供することができます。

延納許可のについて
延納申請書が提出された場合には、申告期限の翌日から起算して3月以内(一定の場合は6月以内)に、延納の許可、または一部について申請に係る条件変更を行い延納の許可を受けるか、または却下されます。
担保について不適当であるとされた場合には、担保を変更しなければならず、その通知を受けた日の翌日から20日以内に変更をしなければ、申請を却下されることがあります。

延納の取消
次の要件に該当した場合、延納の許可が取り消され、相続税全額を一時に納付する必要があります。
①滞納、その他延納の条件に違反したとき
②担保につき変更等の命令に応じなかったとき
③担保につき強制換価手続が開始されたとき
④延納の許可を受けた者が死亡し、その相続人が限定承認をしたとき
なお、③及び④の場合を除き、税務署長は弁明を聴かなければならず、直ちに取消になることはありません。

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【コラム執筆者】
税理士法人グローバルマネジメント
税理士 成田 佳大