相続税の物納とは?②物納のながれと収納価額|税理士 成田佳大

掲載日 : 2017年5月1日

相続税を金銭で一時に納付することが困難な場合、一定の要件を満たすことにより、物納が認められています。

物納のながれ
相続の開始から、10か月以内に相続税の申告及び物納の申請を行います。物納の申請後、税務署と国税局の調査を受けて、3か月以内(調査が3か月を超えると見込まれる場合は6カ月以内、積雪等でさらに調査に期間を要すると見込まれるときは9か月以内)に物納財産ごとに、物納の許可または却下の決定通知を得ることになります。

相続の開始

申告・申請

相続開始から10か月以内に、物納申請書等を納付期限(申告期限)までに提出します。
物納手続関係書類がこの期限に間に合わない場合、届出により提出期限の延長が、届出1回に付3か月、最長1年認められます。ただし、この場合、延長期間について利子税が発生します。

物納の許可・却下の決定

税務署と国税局により、物納できる財産の要件を満たしているか否かについて、現地調査等が行われ、必要に応じて補完通知(※1)、措置通知(※2)を受けることになります。
※1:書類の提出や記載の不備の訂正を求める通知
※2:廃棄物の撤去等、収用のために必要な措置を求める通知

こうした調査の結果、申請期限から3か月以内(調査が3か月を超えると見込まれる場合は6カ月以内、積雪等でさらに調査に期間を要すると見込まれるときは9か月以内)に税務署長は物納財産ごとに許可または却下の決定をしなければなりません。

また、許可については、物納財産の性質等に照らし、条件が付されることがあります。その条件を物納許可後5年以内に履行しなければ、物納の許可の取消し処分を受ける場合があります。

物納の収納価額
税務署が物納財産を受け入れる算定価額のことを収納価額といいます。

物納財産の国への収納価額は、原則として物納財産の相続時点における相続税評価額となります。
すなわち、土地の場合は相続税路線価や倍率方式により評価した金額、建物の場合は固定資産税評価額を基に計算した金額 となります。
ただし、以下の場合における収納価額は注意する必要があります。

①小規模宅地
小規模宅地の評価減の適用を受けた土地は、その評価減をした後の金額が収納価額となります。このため、小規模宅地の評価減の適用を受けた場合、物納すると通常より低く算定されることとなり、注意が必要です。

②財産状況に著しい変化がある場合
物納財産の収納時までに、その財産の状況に著しい変化があった場合、収納時の状況において、その財産の収納価額を定めることになっています。この場合における状況の著しい変化とは、以下が考えられます。
・土地の地目変更があった場合
・建物の損壊または増築があった場合
・自用の建物が貸家となった場合
・株式について増資または原資が行われた場合

却下があった場合の申請
物納について却下の処分を受けた場合には、次の申請をすることが認められています。

①延納の申請
延納により金銭で納付することが困難とする事由がないなどの理由で、物納の却下があった場合については、却下の日の翌日から20日以内に延納の申請をすることができます。

②物納の再申請
物納申請した財産が、管理処分不適格財産または物納劣後財産に該当するために、物納の却下があった場合には、その物納財産以外の物納財産を改めて、却下の日の翌日から20日以内に物納の申請をすることができます(ただし、1回限り)。

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【コラム執筆者】
税理士法人グローバルマネジメント
税理士 成田 佳大