特別受益|評価基準時等と持ち戻し免除

掲載日 : 2013年9月29日

評価基準時等
特別受益は「相続開始の時」の財産価額に加えられるものですから、その評価基準時は被相続人死亡時ということになります。現金を受け取った場合、消費者物価指数で評価替えされます。
例えば、平成22年を相続開始時としてその時点での総合物価指数を100とした場合における昭和50年のそれは56ですから、その当時56万円を受け取ったとすればこれを100万円として評価するということです。

建物・動産といった減価の激しいもの
建物、動産といった減価の激しいものについては、贈与を受けたときの価格を評価替えするのが相当かと思います(東京弁護士会編〈御器谷担当〉「相続・遺言〈Ⅱ特別受益〉」ぎょうせい68頁以下)。

それらが既に滅失等していた場合はどうでしょうか。「受贈者の行為によって」滅失等した場合は「原状のままであるとみなす」という規定があります(904条)。問題は、その反対解釈をどこまで徹底するかです。地震等不可抗力や第三者の行為による場合はどうか、自然朽廃の場合はどうか、難しい問題ですので、具体的なケースについては、弁護士等の専門家に相談されることをお勧めします。

特別受益の持戻し免除
特別受益があったとしても、その持戻しをしないという意思表示を被相続人がした場合、それは効力を有します(903条3項)。それは、被相続人は、遺留分に反しない限度で、自らの財産に処分権を有しているからです。

その意思表示の方法は限定されていませんので、明示の場合だけでなく黙示の場合も可能です。

この点、持戻しは相続人間の公平を図るための規定ですが、持戻し免除の意思表示が認められると、贈与や遺贈を受けた相続人は相続財産を多く取得することになります。持戻し免除は特定の相続人が多く相続財産を取得するための合理的理由が要請されることになります。
問題とされるのは、黙示の持戻し免除の意思表示が大半であり、他の相続人との公平の観点から慎重に判断する必要があるといえますが、ある程度類型化されています。その例としては、黙示の免除がされたといえる場合としては、家業継続のための必要財産の贈与、共同相続人それぞれに対する同程度の贈与、身体的乃至精神的障害のある子への贈与、親の世話をするために土地や建物を無償使用させた場合、等があります。

【特別受益の持戻し】
相続人間の公平を図るため、特別受益も相続財産であるとし、相続分を計算するにあたり、これも相続財産に加えて各相続人の具体的相続分を算定すること

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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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