遺産分割審判の対象となるもの①物権等(不動産や賃借権等)

掲載日 : 2013年9月20日

遺産分割審判の対象になる・ならないという視点から、よくあるものについて簡潔に説明します。

不動産・動産の所有権 審判の対象になる

不動産の所有権が相続財産である場合、共同相続人の「共有」になります(898条)。

ここでの「共有」が、民法249条以下に規定する「共有」と同じものかどうか、大きな争いがありますが、最高裁が以下に述べるとおり、実務的には同じものと理解されています。なので、共有物の利用(使用や管理等)については、民法で定められており(249条以下)、これと同様の扱いになります。

最3小判昭和30年5月31日民集9巻6号793頁以下
民法249条以下に規定する『共有』とその性質を異にするものではない…それ故に、遺産の共有及び分割に関しては、共有に関する民法256条以下の規定が第一次的に適用せられ、遺産の分割は現物分割を原則とし、分割によって著しくその価格を損する虞があるときは…価格分割を行うことになる

ただ、遺産分割については、249条以下の「共有」とは異なった特別の手続が定められていいます(907条以下)。すなわち、共同相続人間で協議が調わないとき等は、その分割を家庭裁判所に請求できます(907条2項)。この請求がなされた場合、裁判所は審判という形で不動産を分割します。
遺産の分割方法については、特別の手続が定められていないので、上記最高裁が述べるとおり、民法256条以下が適用され、現物分割を原則とするものの、現物をもって分割することができない場合又は分割により著しく価格を損する可能性がある場合は、価格による賠償により分割を行うことができます。

動産の所有権についても同様です。

賃借権 審判の対象になる

賃借権とは「賃借権(利用権)とその対価たる賃料債務、その他賃貸借契約の存続に伴って生ずるすべての契約上の債権債務を一括」した「賃借関係全体」を意味します(川島「賃借関係が共同相続された場合の法律関係」法学協会雑誌80巻6号165頁以下)。
つまり、これは「契約上の地位」であって(内田「民法Ⅳ親族・相続」東京大学出版会364頁以下)単純な債権債務とは異なります。

そして、このような契約上の地位は、898条、264条にいう「(準)共有」として遺産分割審判の対象になります。

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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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