遺産分割協議の諸問題(財産の不足分・解除)

掲載日 : 2013年9月16日

財産の不足分
遺産分割協議で予定していた財産に不足分が生じた場合は、各相続人は相続分に応じて担保責任を負います(911条)。
当該協議がこれを前提として予定したものであるならば他の共同相続人に担保責任を負わせることが公平だからです。

例えば、ABCが同順位の相続人であり、遺産分割協議により、Aが1,000万円の現金、Bが1,000万円の有価証券、Cが1,000万円の不動産を取得したとします。Cの取得した不動産は、坪10万円の土地を100坪1,000万円分を前提としていましたが、これが90坪900万円分しかなかったときは、相続人間に不公平をもたらします。
この場合、CはABに対して、担保責任を求めることができます。911条は「売主と同じく」担保責任を負うとしていますので、その内容は解除、損害賠償請求(570条、566条)となりますが、解除できるかどうかは後述する判例もあり、見解がわかれるところかもしれません。単純に金額の問題と割り切って考えるならば、ABの各相続分に応じて各50万円の損害賠償請求をすることが一般的でしょう。

合意解除
遺産分割協議の合意解除も可能とされています(最1小判平成2年9月27日判タ754号137頁以下)。但し、それは「共同相続人全員による遺産分割協議の合意解除と再分割協議を指すもの」と解されているので、そのハードルは高いと思われます。

法定解除
他方、遺産分割協議で定めた負担について、その不履行を理由とする法定解除はできないとされています(最1小判平成1年2月9日判タ694号88頁以下)。その理由とされるのは「遺産分割はその性質上協議の成立とともに終了し、その後は右協議において右債務を負担した相続人とその債権を取得した相続人間の債権債務関係が残るだけと解すべきであり、しかも、このように解さなければ民法909条本文により遡及効を有する遺産の再分割を余儀なくされ、法的安定性が著しく害されることになる」ということです。例えば、父A死亡時の遺産分割協議において、母Bの面倒をみることを負担として弟CがAの財産すべてを取得したことに同意した姉Dは、後にCがBの面倒をみなくなったとしてもその遺産分割協議を解除できないということです。

このような事案は割と見受けられるので、遺産分割協議を成立させる前に弁護士等の専門家に相談することを勧めます。

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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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