定期借家契約とは|弁護士 浜本光浩

掲載日 : 2017年3月20日

建物賃貸借の一つであり、契約期間の満了により契約が更新されることなく終了することが大きな特徴です。

背景
従来の建物賃貸借(普通借家契約)は、契約期間が満了した際、貸主は契約更新を拒絶するには「正当事由」が必要となります。
つまり、貸主に正当事由がなく、借主が契約更新を希望した場合には、契約が自動的に更新されます。

このように、従来の建物賃貸借は借主が厚く保護されている制度と言えます。
一方、貸主の立場からすれば、建物の取壊しや自己利用等をしたくても、普通借家契約の場合、契約終了のメドが立ちにくいというデメリットがありました。
そこで、契約期間満了により更新がなく契約期間が終了する「定期借家契約」という契約形態が認められることになりました(平成12年3月1日施行)。

定期借家契約の要件
定期借家契約は、「更新」がないため、借主にその内容を十分に理解してもらうことが必要となり、普通借家契約より厳しい要件が課せられています。

1)書面による説明
書面による説明義務を貸主に課しています(借地借家法38条2項)。
この書面には、①定期借家契約であり、②契約更新がなく、③契約期間の満了により賃貸借が終了すること、④契約終了年月日等を記載する必要があります。
なお、この説明義務を怠ると、契約の更新がないこととする旨の定めは無効となり、普通借家契約となります(借地借家法38条3項)。

説明文書は契約書とは別に交付しなければならないこととされていますので(最高裁平成24年9月13日判決)、この点に十分に留意する必要があります。

また、定期借家契約は更新がありませんが、貸主と借主が合意すれば再契約することは可能です(ただし、定期借家契約であることについて再度書面による説明と契約が必要となります)。

2)書面による契約
書面による契約が必要であり、口頭の約束によって定期借家契約をすることはできません(借地借家法38条1項)。
書面による契約であれば良いので、必ずしも公正証書による必要はありませんが、書面上、契約の更新がないこととする旨を明記することが必要です。

定期借家契約のポイント
1)賃貸借が終了する旨の通知
契約期間が1年以上である場合、貸主は期間満了の1年前から6か月前までの間に、借主に対して期間満了により賃貸借が終了する旨の通知をする必要があります(借地借家法38条4項本文)。
この期間が経過してから通知した場合、通知した日から6か月を経過する日まで、貸主の方から期間満了を主張することはできません(借地借家法38条4項但書)。
これに対し、契約期間が1年未満である場合には、上記の通知が無くても期間満了により契約は終了します。

2)借主側からの中途解約
賃貸借の対象が居住用建物で、床面積が200㎡未満の場合、転勤、療養、親族の介護その他やむを得ない事情があり、借主が建物を生活の本拠として利用することが困難になった場合には、賃貸借期間中であっても、借主側から賃貸借の中途解約の申入れをすることができ、中途解約申入れの日から1ヶ月後に契約は終了するものとされています(借地借家法38条5項)。
この解約権が行使することができるのは借主に限られ、貸主からの中途解約はできません。
なお、中途解約に関して個別に特約を結ぶことは可能です。

3)賃料改定に関する特約
特約により賃料改定に関する規定(借賃増減請求権・借地借家法32条)の排除が可能となっています(借地借家法38条7項)。

4)平成12年3月1日以前に締結された建物賃貸借の定期借家契約への切り替え
法施行日(平成12年3月1日)以前に契約された建物賃貸借を定期借家契約に切り替えることは、貸主と借主との間で新たに定期借家契約を締結すれば可能です。ただし、賃貸借の対象が居住用建物である場合には、借主保護の観点から、当分の間、定期借家契約に切り替えることはできないこととされています(平成11年借地借家法改正附則3条)。

【コラム執筆者】
きっかわ法律事務所
弁護士 浜本 光浩