非嫡出子相続差別違憲決定②今後の影響

掲載日 : 2013年9月10日

決定の影響

先ずは、最高裁決定の懸念している影響力の点です。影響を及ぼさないとされているのは、民法900条4号を前提としてされた「確定的な法律関係」です。

遺産分割の協議や審判は財産毎になし得るので、「未分割財産」についての争いが生じることが考えられます。また「協議」は素人同士で緩やかな形で交わされることが多いので、それが「確定的」なものかどうか、その評価と関連し争われることも多いと思います。

なお、可分債権・可分債務が相続された場合「法律上当然分割」されるというのが判例の立場です(最1小判昭和29年4月8日民集8巻4号819頁以下、最2小判昭和34年6月19日民集13巻6号757頁以下)。

が、最高裁決定は「債務者から支払を受け、又は債権者に弁済をするに当たり、法定相続分に関する規定の適用が問題となり得るものであるから、相続の開始により直ちに本件規定の定める相続分割合による分割がなされたものとして法律関係が確定的なものとなったとみることは相当ではない」としていますので、注意が必要です。


認知について

次に、今後「認知」は増えていくでしょう。

最高裁決定は「嫡出でない子の出生数が…平成23年でも2万3000人余」全出生数に占める割合としては「約2.2%にすぎない」と指摘していますが、これは認知されたものだけではありません(戸籍法52条2項が「嫡出でない子の出生の届出は、母がこれをしなければならない。」としているもので、この場合、戸籍の父親欄は空欄のままです。そして、このような子が認知を受けた場合には戸籍の父親欄に父親の名前が記載されます。)。

基礎知識としては「嫡出でない子は、その父…がこれを認知することができ」これによって、法的な親子関係が形成されます(779条)。ここでいう「嫡出でない子」の数も増えていくでしょうから、その中で「認知」を受ける数も増えていくでしょう。

被相続人にしてみれば、生前認知はバツが悪いかもしれませんが、認知は遺言でも可能です(781条2号)から、このような形も増えていくかもしれません。


親子としての生活実態

最後に、最高裁決定は、非嫡出子が生まれた経緯を問題にしていません。嫡出でない子が生まれる経緯は様々で、例えば、A男とB女の婚姻関係が破綻した後、離婚しない・できないまま、C女と付き合い同居して、Yが生まれた場合もあるでしょう。このような場合、AY間に共同生活の実体がありますが、そのような生活実体のない場合も多いと思われます。今回の最高裁決定を受けた世間の評判は、予想以上に悪いように思われますが、それにはこのような事情があるからかもしれません。

すると、生活の実体が、AX間にあって、AY間になかった場合、Xが「Aの面倒を見てきた」として、今まで以上に熱を帯びた形で「寄与分」の主張をしていくことが考えらえます(904条の2)。また、自らの相続分が一層有利になるよう生前のAに遺言作成の働きかけも増えてくるかもしれません。


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非嫡出子相続差別違憲決定①争点と最高裁判断

【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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