自筆証書遺言の訂正の方法

掲載日 : 2013年8月30日

遺言は厳格な要式行為として、「この法律に定める方式に従わなければ、することができない」とされ(960条)ており、その方式=要件を充たさないと無効となります。

自筆証書遺言は簡便なため、多く利用されていますが、要式性を欠いて無効になるケースも多く見られます。特に誤字・脱字や文字の追加等により発生する間違い(誤記)の訂正については、法が定める要式通りに行っている割合が低く、せっかく作成した遺言書が無効になる可能性もあるため、注意する必要があると思われます。

誤記の訂正の方法
自筆証書遺言の加除その他の変更は、遺言者が、①その場所を指示し、②これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、③かつ、その変更の場所に印を押さなければならないとされています(968条2項)。

具体的には、訂正箇所に印を押し、欄外に「この行○字加入(○字削除)」等と書いた上でその部分に署名するという方法です(東京弁護士会相続・遺言研究部「実務解説相続・遺言の手引き」日本加除出版172頁)。しかし、通常の公文書の変更方法と比較しても、下線部分についての手続が増える等、素人には一層解り難いものになっており、実際においても、誤記の訂正を要式通りに行っている割合は非常に低いと言えます。
(参考)「平成9、10年に大阪家裁本庁に係属した検認事件の5分の1にあたる155件のうち、何らかの訂正があったものが約14パーセントで、民法の定める方法を採っていたものはその中の約4分の1に過ぎなかった。」とも報告されています(久貴編「遺言と遺留分第1巻遺言[第2版]」小田執筆-自筆証書遺言の実態」99頁以下、特に101頁、111頁日本評論社)。

自筆証書遺言が複数枚に及ぶ場合
自筆証書遺言が複数枚に及ぶ場合、通常は割印をするが、そのような割印がなかったとしても、最高裁は1通の遺言書であると確認できる限り、それを有効としています(最1小判昭和36年6月22日民集15巻6号1622頁)。

 

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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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