共有物分割と登記について

掲載日 : 2013年8月17日

民法では、5年を超えない期間において共有物を分割することが出来ない旨を定めている場合を除き、各共有者において、いつでも分割の請求をすることが出来ます(民法256条1項)。

共有物分割の方法としては①現物分割②代価分割③価格賠償という3つが考えられますが、この点は、共有物分割の方法をご参照ください。

私のコラムでは、この実体上のものをどのようにして分割し、手続きとしてはどのように登記するのかについて触れたいと思います。

現実に共有状態にある不動産について話し合った結果、その共有状態を解消する際、登記手続きとして下記の3つのパターンが考えられます。

ただし、登記法上、一筆の不動産、仮にこれが土地として、その土地が共有状態にある場合、いきなり単独所有に登記申請できる場合と、出来ない場合があります。これを、わかりやすく土地のみで、かつ場合分けして考えてみたいと思います。

不動産が一つしかないような場合

*A土地は既に甲乙共有の状態にあるものとする
具体的事例:現在、A土地は甲と乙、それぞれ2分の1ずつの持分で共有している状態であるが、これを甲と乙それぞれの単独所有としたい場合。

本事例の場合、A土地の半分を甲、もう半分を乙のものとするためには下記の手続きが必要となります。

  • まず、A土地をA-1土地とA-2土地に分筆登記の申請をします。この段階ではまだそれぞれ共有状態のままになります。
  • そのためA-1土地を甲の、A-2土地を乙の単独所有とするために、次にA-1土地につき乙持分全部移転の登記、A-2土地につき甲持分全部移転の登記を申請します。

不動産が2つ以上ある状態(全て共有)

*A土地、及びB土地とも、それぞれ既に共有の状態にあるものとする
具体的事例:現在、AおよびB土地は甲と乙、それぞれ2分の1ずつの持分で共有している状態であるが、これを甲と乙それぞれの単独所有としたい場合。
  • A土地につき乙持分全部移転登記を申請します。
  • B土地につき甲持分全部移転登記を申請します。

不動産が2つ以上ある状態(一部共有)

*但し、A土地のみ甲乙の共有、B土地は甲単独所有状態にあるものとする
具体的事例:現在、A土地は甲と乙が、それぞれ2分の1ずつの持分で共有している状態である。常々甲は、A土地を甲の単独所有とし、甲が別途単独所有しているB土地と、A土地の乙持分を交換したいと考えている。
  • A土地につき乙持分全部移転登記を申請します。
  • B土地につき「年月日共有物分割による交換」を原因とする、所有権移転登記を申請します。

このように、それぞれの共有状態や解消の方法によって、それを実現する登記手続きも異なります。詳しくは司法書士にお尋ねになられることをお勧めいたします。

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【コラム執筆者】
アクアス司法書士・行政書士総合事務所
司法書士 和田努

事務所HP :
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