建築基準法第42条3項道路とは?

掲載日 : 2013年8月12日

建築基準法第42条3項の規定により、特定行政庁の指定を受け、建築基準法上の道路とみなされる道路をいいます。

以下は第42条3項の規定ですが、この中で「前項(2項)の規定にかかわらず」とあるように、3項道路は2項道路の規定が適用できない場合の例外としての性格を有します。

第42条
3 特定行政庁は、土地の状況に因りやむを得ない場合においては、前項の規定にかかわらず、同項に規定する中心線からの水平距離については2m未満1.35m以上の範囲内において、同項に規定するがけ地等の境界線からの水平距離については4m未満2.7m以上の範囲内において、別 にその水平距離を指定することができる。

つまり、4m以上の幅員がない道路は、2項道路として道路中心線から2m後退した位置を道路境界線とすることで、建築基準法上の道路とみなすのが原則ですが、土地の状況により「やむを得ない場合」においてのみ「特例として」、2m未満1.35m以上の後退だけで(または現状のままで)認めます、というものです。

第42条3項が成立した背景
市街地建築物法は1919年(大正8年)の制定時、接線義務により建築物の敷地は建築線(建築線間2.7m以上)に接面しなければならない規定がありました。
その後の改正で、幅員4mの道路に接面することを求める接道義務になりました。
この時、2.7m以上4m未満の道路のうち、現況幅員が2.7m以上の道路は市街地建築物法上の道路とみなす経過措置がありました。
つまり以前は、道路幅員の実質的な最低基準は2.7mだったのです。

1950年(昭和25年)に建築基準法が制定され、道路の幅員が4m以上に規定されましたが、既成市街地には4m未満の道路が多く存在していました。
こうした4m未満の道路については、救済措置として42条2項が適用されましたが、2項道路は中心線から2mの後退が求められます。
しかし、傾斜地にある市街地や漁村などの集落には狭い道路が多く、現実には2mの後退が可能な道路ばかりではなかったため、建替えが不可能な場合もありました。
こうした背景から、2項道路を厳格に適用すると混乱を招く恐れがある、との配慮から3項道路が成立したと言えます。

第42条3項の指定状況
3項道路の指定は、当該規定が創設された際に指定対象として想定された、傾斜地や漁村などが多く見られます。
その他の地域における指定が少ない理由には以下があると言えます。

  • 2項道路と比較した時の公平性
  • 容積率・道路斜線の制約により3項の指定を受けるメリットが大きいとは言えない場合がある(狭小敷地が多い場所など)。
  • 道路中心線からの後退距離が最低1.35mになり、災害時の避難の問題や延焼のおそれ等により特定行政庁が慎重である。

2003年改正及び2004年(平成16年)国土交通省の運用通知
法改正や国土交通省が示した法42条3項の運用通知により、がけ地などの自然環境だけではなく、市街地の路地や細街路に対しても3項を適用できることになりました。

法43条の2に基づく条例を活用し、京都市祇園町南側地区が42条3項の指定を受けました(平成18年)。
伝統的な建築様式による建築物及びその敷地が接する細い街路により形成される町並みの景観を保全し継承するためのものであり、建築物の規模や内装を制限した上で3項指定がなされています。

第43条の2
地方公共団体は、交通上、安全上、防火上又は衛生上必要があると認めるときは、その敷地が第42条第3項の規定により水平距離が指定された道路にのみ2m(前条第2項に規定する建築物で同項の条例によりその敷地が道路に接する部分の長さの制限が付加されているものにあっては、当該長さ)以上接する建築物について、条例で、その敷地、構造、建築設備又は用途に関して必要な制限を付加することができる。

法第42条第3項の規定の運用通知(平成16年2月27日 国住街第382号 都道府県建築主務部長あて 国土交通省住宅局市街地建築課長発 技術的助言)

  • 法第42条第3項の指定の対象となる道は、「法第42条第3項の規定に基づく水平距離の緩和指定運営要領について」(昭和35年5月30日住発第179号建設省住宅局長通知)の運営要領一に例示しているところであるが、地域の歴史文化を継承し路地や細街路の美しいたたずまいの保全・再生を図る場合や、密集市街地内の老朽化した木造建築物の建替えの促進を図る場合について、特定行政庁がその指定を考慮することは差し支えないこと。
  • 「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律」(平成15年法律第101号)により法第43条の2の規定を設け、法第42条第3項の規定により水平距離が指定された道路にのみ2メートル以上接する建築物について、地方公共団体が、条例で、敷地面積の最低限度規制、防火上の構造制限、消火設備の設置の義務付け、集客力のある用途の制限等、その敷地、構造、建築設備又は用途に関して必要な制限を付加することができることとしたので、必要に応じ、当該条例の活用について考慮するのが望ましいこと。
  • これらの措置のほか、地域の状況に応じた建ぺい率の指定や容積率の算定に当たり前面道路幅員に乗ずる数値等の見直し、斜線制限における制限勾配等の見直し、街並み誘導型地区計画その他の建築規制の特例措置の活用、木造のたたずまいを活かした防火構造の仕様の活用等により、歴史的たたずまいを継承した街並み・まちづくりの推進が可能であること。
  • さらに、街なみ環境整備事業、密集住宅市街地整備促進事業、まちなみデザイン推進事業、歴史・文化継承住宅融資等の各種事業制度等を併せて活用することにより、より効果的に、路地や細街路の美しいたたずまいを活かした地区の整備が可能であること。

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【コラム執筆者】
坂口建築計画
一級建築士 坂口晃一