身寄りのない人のための法律⑤遺言など

掲載日 : 2013年8月7日

両親、配偶者、子供、兄弟姉妹といった身寄りが全くない人(便宜上、Aと称します。)が死亡した後の対応は、Aの死亡後の対応は、死後事務処理委任契約によることもできますが、前述したとおり、金額が高額になる場合や長期的な継続した対応が必要になる場合は、やはり遺言による処分が必要です。

遺贈の活用
例えば、Aが世話になったBに財産を残したいというのであれば、遺言によってその財産を遺贈すれば良い訳です(世話になった、学校、病院、施設、寺院等に寄付をするのもこの範疇です。)。

何か、Bにお願いしたいことがあれば、それを負担付きにすることも可能です。これを負担付遺贈といい、例えば、親の面倒をみることを条件に自宅を遺贈するといったものがよくあります。。この場合、負担の履行がなされなければその取消しもできます(1027条)から、負担の履行の期待が持てます。
お願いできる事項としては、前述した死後事務処理契約で委任できる事項(施設等の明渡しと費用の支払、葬儀とその費用の支払、永代供養等)もありますが、死後事務処理委託契約では難しい場合、例えば、長期継続的に買っていたペットの世話についても、遺言であるなら、負担付きでお願いすることが可能です。

遺贈に関する注意点
Aには身寄りがないので、遺言執行者の指定を忘れないで下さい。Bを遺言執行者としても構いませんが、事務処理の便を考えると第三者性を有する弁護士等の専門家に委ねる方がいいと思います。
遺贈の方法としては、その物を現実に遺贈する場合もありますが、その物を換価して金銭として遺贈することも可能です(これを清算型遺贈といいます。)。遺言執行者は「遺言の執行に必要な一切の行為」ができる(1012条)ので、例えば、担保付不動産を遺贈する場合、不動産の売却代金の中から被担保債権の弁済をした後で残った金銭のみを遺贈することも可能です。

血縁以外の人に遺贈をする場合、それが真意に基づくものか、疑いを挟むも人が出てくるのもやむを得ないことです。この場合、徒に紛争を生じさせないためには、例えば「付言(遺言に記載されているものの、法的効力が認められる訳ではない記載)」で、遺贈の動機を明確にしておくことが良いと思います。

信託や財団法人の設立
Aの財産の規模によっては、信託(信託法3条2号)や財団法人の設立も可能です(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152条2項)。

祭祀に関する権利
祭祀に関する権利については、例えば、Aが墓等の権利を有する場合、前述(身寄りのない人のための法律③~生前にしておくこと~仏壇・墓)したとおり、Aが生前に永代供養として改葬することも考えられますが、せめて自分の生きているうちは墓等を守りたいと考える人もあるでしょう。この場合は、遺言で祭祀に関する権利者をBに指定し、Aが死亡後にBをして永代供養として改葬させることも可能でしょう。ただ、寺院等では祭祀承継は相続人に限るなどの制限を設けているところもあるようなので、寺院等との事前の打ち合わせが必要です。また、繰り返しになりますが、過度の負担にならないようBとの話し合いも必要です。

問題は、Aが墓等の権利を有していない場合です。この場合のAの納骨は永代供養によらざるを得ないですが、そのためだけに祭祀に関する権利をBと指定するのも大げさなので、永代供養をするという負担付でその費用も含め遺贈をする例が多いようです。

その他(尊厳死や臓器提供)
尊厳死や臓器提供についてもAの意思を示し残す方法があります。これらも含め詳細は、弁護士等専門家にお問い合わせください。

        

【関連コラム】
身寄りのない人のための法律①相続人の不存在
身寄りのない人のための法律②生前の有益な制度~任意後見制度と法定後見制度
身寄りのない人のための法律③生前にしておくこと~仏壇・墓
身寄りのない人のための法律④死後事務処理委任契約

【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

事務所HP :
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