身寄りのない人のための法律③生前にしておくこと~仏壇・墓

掲載日 : 2013年8月5日

両親、配偶者、子供、兄弟姉妹といった身寄りが全くない人(便宜上、Aと称します。)が増えています。
Aが先祖代々からの仏壇、墓を有していた(これを祭祀に関する権利といいます。墓地やそこに納められた遺骨の権利も含むと解されています。)場合はどうでしょうか。

Aが祭祀に関する権利を有しているということは、これを改葬(墓を引っ越すこと)等もできるということです。例えば、全てをAが将来に備えて、信頼できる人(便宜上Bと称します。)に託すといっても、血縁でもないのですから、その負担にならないようAの判断能力のあるうちに、永代供養に移すといった手続を採っておいた方が望ましいとはいえるでしょう。

祭祀に関する権利の遺言
この際、遺言の記載は注意が必要です。祭祀に関する権利は遺言で定め得ることです(897条)が、生前の対応を中途半端なままにして、遺言の中での祭祀指定と矛盾する事態に至った場合、紛争を招きかねません。

  

例えば、東高判平成21年12月21日(判タ1328号134頁以下)は、被相続人Aが、生前に写真を墓に納める形での永代供養をYに依頼し300万円を払ったところ、Aから遺言で祭祀主宰等の権利の指定を受けたXから、その金員の返還を求められた事例です。
結局、裁判所は、Aの委託した死後の事務処理契約の解除は特段の事情のない限り許されないとした上で、Yは永代供養を現実に行っているとして、Xの請求を認めませんでした。ただ、特に祭祀については血縁でないBが思うがまま対応することが難しい場合も多いでしょうから、その迷惑にならないよう注意する必要があります。

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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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