子供のいない夫婦の遺言④共同遺言とは

掲載日 : 2013年7月29日

共同遺言
共同遺言とは、二人以上の者が同一の書証で遺言をする場合であり、民法975条はこれを禁止しています。

その趣旨は、遺言をする際に他の者の影響を受けないようにする点にあります(また、仮に同一証書に遺言がなされたとすればその撤回も共同でしなければならないでしょうが、それは1022条が定める遺言撤回の自由を制限することにもなり不当です。)あることから、例えば、最小2判昭和56年9月11日は、夫が妻の名前も使って夫婦共同名義で書いた遺言(妻分については署名等がなく方式違反で無効)であっても、共同遺言にあたるとされています。そこには妻の影響が伺えたということであり、妻の全く知らない間になされた遺言は有効とする例(東高決昭和57年8月27日)と対比されるところです。

結局、共同遺言か否かは、妻の関与や合意の有無、遺言内容の関連性等によって、決せられているということです(辻「平成6年度主要民事判例解説」判タ882号170頁)。
判例(最3小判平成5年10月19日)の中には、遺言が四枚を合綴し各葉毎に契印がなされていたとしても、各人の遺言書として容易に切り離すことができる場合は、共同遺言にあたらないとしたものがあり、学説の中には、同じ用紙を用いている場合であっても、切り離せば二通の独立した遺言書となるものは、ここにいう共同遺言ではないとするものもあります(我妻「相続法〈判例コンメンタール〉」260頁)。

ただ、有効・無効のポイントになるのは、前述したとおり、妻の関与や合意の有無、遺言内容の関連性ですから、遺言を区別するに越したことはなく、用紙も分けた方がいいと思いますし、それが禁止される趣旨からすれば、別封筒にて別々に保管した方がいいと思います。

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【コラム執筆者】
村上・新村法律事務所
弁護士 村上博一

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