2種類の不動産の競売

掲載日 : 2013年6月24日

不動産の競売には、①不動産強制競売と、②担保不動産競売の2種類があります。

不動産強制競売について
不動産強制競売とは、執行裁判所が債務者の不動産を売却し、その代金をもって債務者の債務の弁済に充てる執行手続です。

すなわち、債務者が任意に債務を履行しない場合に、債権者が、勝訴判決などの債務名義に基づいて債務者の不動産に対する強制執行を行うことでその権利の実現を図ることができます。この具体例としては、以下のような場合が考えられます。

「AがBに対して3,000万円を貸し付けていたが、Bが期限内にこれを返済しなかった。そのため、AはBに対して貸金返還請求訴訟を提起し、勝訴判決を得た。しかし、判決が出たにもかかわらずBは支払おうとしないことから、AはBの所有する不動産を強制的に売却して、その対価から3,000万円を回収しようと考えた。」

この場合、AはBに対して有する権利を実現するために、不動産強制競売を申し立てることになります。

このように、不動産強制競売を裁判所に申し立てた場合、裁判所で付される事件番号は平成〇〇年(ヌ)となります。

担保不動産競売について
担保不動産競売とは、判決などの債務名義を必要とせず、抵当権を代表とする担保権の有する優先弁済権に内在する換価権に基づいて換価した代金から満足を受ける手続です。

すなわち、債権者が担保権を有している場合に、債務者が任意にその債務を履行しないときには、債権者は、その有する担保権を実行して、担保目的物を換価し、その換価代金をもって自己の債権の弁済にあてることになります。この具体例としては以下のような場合が考えられます。

「AはBに対して3,000万円を貸し付け、その担保としてBの所有する不動産に3,000万円の抵当権を設定した。Bが期限内に3,000万円を返済しなかったことから、Aは抵当権を実行し、Bの所有する不動産から3,000万円を回収しようと考えた。」

この場合、AはBの所有する不動産に対して有する担保権を実行すべく、担保不動産競売を申し立てることになります。

このように、担保不動産競売を裁判所に申し立てた場合、裁判所で付される事件番号は、平成〇〇年(ケ)となります。

両者の比較
このように、両者は私法上の請求権、すなわち前述の具体例で言えば、「AがBに対して3,000万円の返還を求める権利」を実現するための最終的な手段として、国家の公権力によって債務者の不動産を換価するという点で共通しています。また、債権者による申立て→差押え→強制換価→配当という大きな手続の流れにおいても共通しています。

しかし、両者は、①債務名義に基づく執行としての競売なのか、②担保権の実行としての競売なのか、という点で異なります。すなわち、①のケースと②のケースのAを比較した場合、②担保権を有していたAは別途債務名義を取得する必要がないのに対し、①のAにおいては、権利を実現するために、別途債務名義が必要となります。

このように、権利の実現をより確実なものとするためには、事前に執行手続までを考慮に入れておかれることをおすすめします。

【コラム執筆者】
アクシス国際法律事務所
弁護士 三村 雅一