裁判による共有物の分割~共有物分割請求訴訟~

掲載日 : 2013年6月7日

共有物の分割について共有者との間で話し合いがまとまらない場合、民法は、その分割を裁判所に請求することができる旨定めています(258条1項)。

このように、共有物の分割を裁判所に請求した場合、民法は、その分割方法について、現物分割を原則とし、現物をもって分割することができないとき又は分割により著しくその価格を損するおそれのあるときは競売による分割を命ずることができる旨定めています(258条2項)。

もっとも、判例は、分割方法について多様化・弾力化の方向を示していると言われています。

まず、部分的価格賠償として、現物分割により生じる過不足を金銭の支払いで調整する分割方法が認められました(最大判昭62年4月22日)。

さらに、一定の要件の下で、全面的価格賠償による分割方法、すなわち共有物を共有者の1人の単独所有または数人の所有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる分割方法を認めました(最一小平成8年10月31日)。

すなわち、同裁判例は、「当該共有物の性質及び形状、共有関係の発生原因、共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値、分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の対価を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情があるときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されるものというべきである。」と述べて、①全面的価格賠償の方法によることが相当であること、②同方法によることで共有者間の実質的公平が害されないこと、という2つの点を満たす場合には、例外的に全面的価格賠償の方法も許されるという判断をしていると言えます。

上記裁判例の事案は、共有物件に居住する共有者Aに対して、残りの共有者らから、共有物分割を求める訴えが提起されたという事案でした。Aは長期間にわたって同共有物件に居住しており、他の共有者らはそれぞれ別に家を構えていて、Aが共有物件に居住することについては、事実上これを容認してきたという事情がありました。同訴訟において、Aは共有部件の単独取得(全面的価格賠償の方法による分割)を希望しましたが、残りの共有者らは共有物件の取得を希望せず、競売による分割を希望していました。

上記裁判例のように、現物分割は困難である一方で、競売による解決が必ずしも妥当な結果とはならないという共有物分割事件は多く存在すると思われます。上記裁判例が認めた全面的価格賠償の方法は、こういったケースにおいて、共有物の利用状況等に応じた柔軟な解決を図るという点で、非常に大きな意味を持つと考えます。

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【コラム執筆者】
弁護士法人 近畿中央法律事務所
弁護士 三村雅一

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