土壌汚染コラム③法や条例による義務調査・任意調査の場合の調査の手順

掲載日 : 2013年5月30日

前回は土壌汚染対策法(以下、「法」)による調査と任意調査の調査契機についてお話ししました。
今回からは、それらの調査について調査の段階ごとに詳しく解説していきます。

以下に法や条例による調査と任意調査をフローチャートにまとめましたのでご覧ください。
なお、条例は大阪府を例にしていますので、それ以外の地域の土地の場合には各都道府県の条例の有無をご確認ください。

法第3条、第5条に基づく調査
先のコラムでお話したとおり、有害物質使用特定施設がある土地の廃止や形質変更時(法第3条・条例)、健康被害のおそれがあると知事に認められた土地(法第5条)については、すでに土壌が汚染されている可能性があるものとして『土壌汚染状況調査』を実施しなければなりません。
これはまた次回詳しくお話ししますが、実際に汚染している可能性のある土壌を採取して分析を行う調査です。

法第4条・大阪府条例81条の5に基づく調査
この場合、対象地に土壌汚染があるかどうか、形質変更を決めた時点ではわかりません。
法4条の場合は、形質変更の届出を提出した時点で担当行政が主体となって汚染のおそれがあるかどうか調査し、「おそれがある」と判断された場合に調査命令が下ります。
ここで法4条において担当行政が行う調査というのは、対象地の履歴です。
履歴調査を所有者さん自身が行いなさい、というのが大阪府条例81条の5です。

『土地の利用履歴等調査』では、現在オフィスビルが建っていたとしても、10年前、20年前、さらにさかのぼること明治時代くらいまで、その土地がどのような使われ方をしていたのか様々な資料を用いて解析していきます。
具体的には、古い住宅地図や空中写真、登記簿謄本といった資料により、その土地の所有者さん、使用者さんは誰なのか、そこにどんな建設物が建っていたのかを確認していきます。
この調査によってメッキ工場やクリーニング作業所があるといった履歴がある場合、それらの工場や事業所において法で定められた有害物質を使用していた可能性があることから「土壌汚染のおそれがある」と判断され、『土壌汚染状況調査』が求められることになります。

法や条例に該当しない土地(任意調査)
では、法や条例に該当しない土地の場合はどうでしょう。

任意調査は売買が契機となることが多く、調査を行うかどうかは土地の売主さん、買主さんで決めることになります。
調査を行わない、というのもひとつのやり方ですし、売買後になんらかの汚染が発覚する等のトラブルを未然に防ぐために、いきなり『土壌汚染状況調査』を行う、というのもひとつです。

『土壌汚染状況調査』は基本的に法に準拠したかたちで行うのが一般的ですが、その調査方法についても双方が納得していればどういったかたちでも構いません。
ただし、法に準拠していない場合、転売等で第3者に土地の所有権が移るなどの際、調査の根拠が問われることもありますので注意が必要です。

土壌汚染のおそれがなかった場合の留意点
最後に、重要なことをお伝えしておきます。
任意調査において『土地の利用履歴等調査』で「土壌汚染のおそれがなかった」と判断された場合、『次の段階の調査』に進まなくてもよいかというと、それはケースバイケースになります。
そもそも、先に申し上げた通り任意調査というのはあくまでも義務ではないのです。
売主さん、買主さんでどういったかたちの売買契約を結ぶのかによって、どういった調査を行うのか、どちらが調査代金を負担するのか、調査を行う前に決めておかなければなりません。
それをきちんと決めないまま、なんとなく言われるがままに調査をしてしまうと、後々トラブルの元になってしまいかねないので注意が必要です。

【関連コラム】
土壌汚染コラム①見えないリスク
土壌汚染コラム②法や条例による調査と任意調査の調査契機
土壌汚染コラム④指定調査機関とは?土壌汚染調査技術管理者とは?

【コラム執筆者】
株式会社 三協エンジニア
土壌汚染調査技術管理者 稲垣優子

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