遺留分減殺請求と価格弁償

掲載日 : 2013年5月29日

遺言や生前贈与などにより被相続人の処分に制限が加えられている遺留分(配偶者直系卑属がいる場合:相続財産の2分の1、直系尊属のみの場合、相続財産の3分の1、遺留分を有する相続人が複数いる場合は、これに法定相続分をかけた割合になります。)を侵害された相続人が、受贈者や受遺者に対し、侵害されている遺留分の返還を求めるのが遺留分減殺請求という手続きです。

遺留分減殺請求権が行使されると、遺留分を侵害する遺贈や贈与は侵害の限度で失効して、遺留分権利者に帰属することになります。

そのため、遺留分減殺請求を受けた者は、遺留分権利者に帰属した範囲で現物を返還することとなりますが、民法1041条1項では、「.受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。」と定めており、請求を受けた者が、価格による弁償を選択することが認めています。この価格弁償の主張は、事実審の口頭弁論終結時までに主張する必要があるとされていて、弁償する価格の基準時は、現実に弁償がなされる時となります。

判例では、価格弁償を選択して目的物の返還請求を免れるには、価格の弁償を現実に履行するか、価格弁償のための履行を提供する必要があるとされています。

履行等を伴わない意思表示をしただけでは、遺留分権利者は、遺留分減殺請求権に基づく目的物の返還請求権を失わせることはできません。

提供等を伴わない価格弁償の意思表示をしただけでは、遺留分減殺請求権者が、価格弁償の請求を行使することもできるし、かつ目的物の返還請求も行使することもできるという状態になります。そして、遺留分権利者が受遺者に対して価格弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をした場合に返還請求権を失い、価額弁償請求権を確定的に取得するとされています(遅延損害金が、その請求日の翌日から発生することになります)。

このように価格弁償の選択するにあたっては、時期、方法等など適切な判断が必要となってきます。

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【コラム執筆者】
なにわ法律事務所
弁護士 大西隆司

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