家賃の減額請求と交渉等について

掲載日 : 2013年5月23日

賃貸マンションの家賃について,近隣の賃貸マンションに比べて,どうも高いように思われるというような場合,近隣の相場並みに家賃を減額してもらうことはできるのでしょうか?

借賃減額請求権
建物の賃貸借契約に適用される借地借家法の32条1項は,借賃,つまり家賃の増減請求権を定めています。
この規定によりますと,

  • 土地又は建物に対する租税その他の負担の増減
  • 土地又は建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動
  • 近傍同種の建物の家賃との比較

により,家賃が不相当となったときは,賃貸借契約の当事者は,将来に向かって家賃の増額又は減額を請求することができるとされています。

したがいまして,上記①~③の事情があれば,借主は,家賃の減額を請求することが認められます。

減額請求の手続
1 家主さんとの交渉
いきなり事を荒立てる必要はありませんので,まずは,家主さんに対して,現在の家賃が不相当になっている理由を説明して,家賃を減額してもらうように話し合うことになるでしょう。

2 民事調停
家主さんからしますと,家賃の減額によって,もちろん収入が減ります。さらに,家主さんが複数の賃貸物件を所有されている場合には,家賃の減額に応じたことが他の借主に知れ渡ると,次々に家賃の減額請求を受けることにもなりかねません。そのため,家主さんは,なかなか家賃の減額に応じてくれない可能性があります。

家主さんが任意の交渉に応じてくれない場合,借主は,建物の所在地を管轄する簡易裁判所等に調停を申し立て,裁判所で家主さんと話し合いをすることになります(民事調停法24条)。

調停手続では,調停委員会が事件の解決のために適当な調停条項を定めてくれる場合もあります(同法24条の3)。

3 裁判
調停での話し合いがまとまらない場合に初めて,借主は,裁判を提起することができます(調停前置主義,民事調停法24条1項)。
裁判では,不動産鑑定士の鑑定等を基に,裁判所が家賃はいくらが相当なのかを判断することになります。

新たな家賃が決まるまでの家賃の支払
従前の家賃が1か月7万円であったとしましょう。

家主さんは,家賃の減額を認める裁判が確定するまでは,家主さんが相当と考える金額(通常は,従来どおり1か月7万円になるでしょう。)を請求することができます(借地借家法32条3項本文)。家賃の支払を止めますと,家主さんから家賃の不払を理由に賃貸借契約を解除される可能性があります。したがいまして,新たな家賃が決まるまでの間,借主は,家賃の支払を止めることはできません。

ただ,裁判所が適正な家賃は1か月6万5000円であると判断し,家賃の減額を認める裁判が確定すれば,家主さんから,家賃の超過額(各月5000円)について,支払時から年1割の割合で利息を付けて返還してもらえることになります(同条項ただし書)。

【コラム執筆者】
えにし法律事務所
弁護士 矢倉 良浩