マンション建築と近隣紛争

掲載日 : 2013年5月21日

マンション建築の際に生じる紛争原因
マンションを建築する際、近隣住民の方々との間で紛争が生じるケースが増えています。
その紛争の原因は、日照、景観、プライバシー、騒音、圧迫感、閉塞感、風害、資産価値の下落など、多岐にわたります。

解決のための法的手続
もちろん、当事者間の話し合いで解決すればそれに越したことはないのですが、任意の話し合いで解決できなかった場合、住民側としては、裁判手続を利用することが考えられます。具体的には、調停の申立てや訴訟の提起が考えられますが、これらの手続には時間がかかり、その間に建築が進んでしまっては意味がありません。

そこで、マンションの建築工事を中止させるための方法として、「民事保全」の手続がとられることが多いと思われます。

民事保全とは?
たとえば、お金を返してもらいたいという訴訟を起こしても、判決が出るまでの間に相手がお金を使い切ってしまったり、不動産を売ってしまって無一文になってしまうと、裁判で勝っても結局意味がなくなってしまいます。

建築紛争において、建築の差止めを求める訴訟を提起したとしても、その訴訟が終了するまでには一般的に長い時間がかかるため、その間に建築が終了してしまうと、「建築を差し止める」という目的を達することはできません。

そこで、裁判で主張する権利を保護するために、暫定的な地位を定めるという制度として設けられているのが「民事保全」の手続です。
先程の例で言えば、預金口座を仮に差し押さえて出金できなくしたり、不動産を処分できないようにする仮の処分の決定を求めることが考えられます。

建築禁止の仮処分について
マンション建築にあたっても、「債務者は、別紙物件目録記載の土地上に建物を建築してはならない。」、「債務者は、別紙物件目録1記載の土地上に建築中の同目録2記載の建物について、4階を超える部分について建築工事を続行してはならない。」といった仮の処分(建築禁止の仮処分)の決定を求めることが考えられます。

建築禁止の仮処分においては、建築工事によって住民側に生じる損害(日照権、眺望権(景観)、プライバシー侵害、閉塞感・圧迫感による人格権の侵害など)を避けるために、建築を止める必要があるということが主張されるのが一般的です。

裁判所がこの主張を受けて、差し止めが相当であるという判断をした場合には、住民側に担保を積むことを条件として、差し止めの決定を出します。この担保とは、あくまで「建築禁止の仮処分」が、「仮」の処分であることから、これによって業者が被る可能性のある損害を担保することを目的とするものです。一般的に担保の額は、建築費等の20~50%と言われています。

決定が出た場合には、それ以降は決定内容に反する工事を行うことが禁止されます。これに違反して工事を継続した場合には、間接強制といって、「工事をやめるまで1日あたりいくらを支払え。」という金銭的なプレッシャーをかける方法や、出来上がった部分について取り壊すという方法がとられることがあります。

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【コラム執筆者】
アクシス国際法律事務所
弁護士 三村 雅一