家賃滞納トラブルにおける自力救済(追い出し)とは

掲載日 : 2013年5月10日

前回に引き続き、家賃滞納者への対応について紹介します。
滞納を繰り返す賃借人の場合、賃貸人にとっては、賃貸借契約を解除した上で新たな賃借人と契約を締結した方がよいと思われるケースが多々あります。
家賃滞納者との契約を解除し、建物を明け渡してもらうための法的な手続としては、前回紹介したとおりですが、同手続には費用も時間もかかってしまうことが一般的です。

そこで、賃貸人側が賃貸物件の鍵を付け替え、実力で賃借人を追い出したり、法的手続によることなく賃貸物件内の動産の撤去処分等を行ったりする行為、いわゆる「追い出し」行為(これを、「自力救済」といいます。)が問題となることがあります。

自力救済は例外的な場合にしか認められない
この点、最高裁は、自力救済の可否について、「私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許されるものと解することを妨げない。」として、自力救済は例外的な場合にしか認められないものであることを明らかにしています(最三小昭和40年12月7日 判例タイムズ187号105頁)。

そして、近時、賃料滞納に起因する紛争として、「追い出し」行為を受けた賃借人から、賃貸人側の違法な自力救済に対して損害賠償請求がされるという事案が起こっています。

大阪高裁平成23年6月10日判決では、賃貸人から貸室の管理を委託されている管理会社の従業員が、当該貸室内にあった賃借人の家具等を搬出し玄関の鍵を交換して賃借人に退去を余儀なくさせたとして、賃貸人及び管理会社に対する賃借人の損害賠償請求が認められています。

また、東京地裁平成24年9月7日判決では、家賃保証会社が賃貸物件の鍵を付け替えるなどして賃借人の占有を排除して、賃貸物件内の動産を撤去処分した行為について、賃借人から家賃保証会社及びその代表取締役に対する損害賠償請求が認められています。

このように、自力救済について、裁判所は厳しい判断を下す傾向にあることが認められます。

それでは、上記最高裁のいう「自力救済が例外的に認められる場合」とは一体どういう場合を言うのでしょうか。次回検討したいと思います。

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【コラム執筆者】
アクシス国際法律事務所
弁護士 三村 雅一