家賃滞納トラブルにおける対応(法的手続)

掲載日 : 2013年5月9日

最近、賃貸人側からの家賃滞納トラブルに関する相談を受けることが多くあります。
今回は、家賃滞納が発生した場合の法的手続の概要を説明します。

まず、家賃滞納が発生した場合の家賃滞納者に対する対応(手続)としては,
1.任意交渉(支払催告・契約解除)
2.(場合によっては,占有移転禁止の仮処分)
3.建物明渡等請求訴訟(滞納賃料支払請求も含む)
4.建物明渡の強制執行
5.滞納賃料についての強制執行
が考えられます。

1.任意交渉
賃料滞納者(債務者)に対し,内容証明郵便にて督促し,任意の支払いを図ります。任意の支払いが行われない場合には,賃貸借契約を解除して目的物の明け渡しを求めます(2.に進みます)。

2.建物明渡等請求訴訟
賃貸借契約の解除後も建物を明け渡さない相手方に対して,建物明渡請求訴訟を提起します。なお,未払い賃料等があれば,建物明渡請求と一緒に未払い賃料等の請求も行います。この訴訟手続において,相手方と和解が成立して解決することもありますが,和解が成立しない場合には判決を取ることになります。その後,場合によっては後記4.の強制執行を申し立てます。

3.占有移転禁止の仮処分
建物明渡請求訴訟にあたり,賃借人以外の第三者が建物を占有しているような場合や,訴訟中に第三者に占有が移転される危険性が認められる場合には,相手方(当事者)を恒定・確定させるために,占有移転禁止の仮処分を申し立てます。

占有移転禁止の仮処分決定が出て当事者(被告)が確定すれば,新たな第三者(占有者)が出現したとしても,当事者(被告)宛の判決に基づいて建物明渡の強制執行を行うことができます。

4.建物明渡しの強制執行
建物明渡請求について判決等が出されているにもかかわらず,相手方が任意に明渡さない場合には,建物明渡しの強制執行を申し立て,強制的に建物の明渡しを実現します。場合によっては,未払い賃料等の金銭債権回収のために,建物内の動産の差押(強制執行)を一緒に申し立てます。

5.金銭執行(賃料債権等を回収するための強制執行)
未払い家賃等の金銭債権について判決等が出されているにもかかわらず,相手方が任意にこれを支払わない場合,相手方の給料や預金,自動車等の財産を差し押さえて,強制的に債権の回収を図ります。

以上が,家賃滞納者に対する法的手続の概要です。
しかし,この手続を専門家に依頼した場合には費用がかかりますし,裁判手続には時間がかかります。そういったことから,近時,賃貸人側による「追い出し」行為が問題となる事例が増えています。そこで,次回は「追い出し」行為について紹介させて頂きます。

【関連コラム】
家賃滞納トラブルにおける自力救済(追い出し)とは
賃貸借契約において自力救済(追い出し)が認められる場合
家賃滞納トラブルの事前対応策

家賃滞納による賃貸借契約の解除

【コラム執筆者】
アクシス国際法律事務所
弁護士 三村 雅一