建築物の定期報告制度とは?建築基準法第12条

掲載日 : 2013年4月26日

定期報告制度
建築物は使用されていくに従い、建物本体の劣化や建物設備の性能低下が起こります。そこで、建築物を常時適法な状態に保ち、安全性を確保するための維持保全に関する責任は所有者等が負うと規定されています(建築基準法第8条第1項)。

特に多数の人々が利用する建築物では、事故が発生した時に必要な設備が作動しなかったり、円滑に避難が出来ないとなると、大惨事になる恐れがあります。
こうした建築物の劣化状態や防災上の問題を早期に発見し、危険を未然に防ぐことを目的として、定められた用途の一定規模以上の建築物や建築設備に関しては、単に所有者等に管理を委ねるだけではなく、有資格者に定期的に調査・検査をさせ、特定行政庁に報告することが義務付けられています。
これが建築基準法第12条第1項及び第3項による定期報告制度です。

非常時に安全に避難できるか、外装や付属物に落下のおそれがないか、防火上の問題がないか等が基本的な調査、報告内容です。
以前の定期報告制度では調査方法が明示されておらず、形式化された報告が多かったようです。
しかし、2006年に東京で共同住宅のエレベーターによる死亡事故が発生し、その後も防火設備の不具合や設置違反などで火災時に多くの死者がでたり、外壁のタイルや石が剥がれ落ちたりといった事故が起き、これらの事故は日常の維持管理や定期報告が適切に行われていなかったことが一因とされました。
そのため、2008年に定期報告における調査の方法、判定基準が明確に示され、より詳細な調査と厳格な判断が求められるようになりました。(平成20年国土交通省告示第282号)

定期報告の対象となる建築物
定期報告の対象となる建築物等は、特定行政庁が地域の実態を踏まえて指定することとなっており、指定する場合の目安を国土交通省では示しています。

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定期報告対象となる報告と時期

報告内容 時 期
特殊建築物等の定期調査報告 3年に1回
昇降機の定期検査報告 毎年1回
建築設備の定期検査報告 毎年1回

※これらは建築物全体の安全対策を目的とするものであり、消防設備点検とは異なります。
※建築物が新築の場合、検査済証の交付を受けた直後の時期は報告の必要はありません。

定期報告の罰則
報告を怠ると法違反となり、罰則規定の対象となります(法101条により100万円以下の罰金)。
定期報告の対象となっているにもかかわらず報告をしなかったり、虚偽の報告を行った場合は罰則の対象となります。
(建築基準法第101条第1項第2号により100万円以下の罰金)

実際に罰則が適用されるケースは悪徳な場合を除き、稀であると言えますが、事故が発生した場合における損失は相当なものになり、会社の信用失墜にもつながるため、定期報告は必ず行わなければいけません。

【コラム執筆者】
坂口建築計画
一級建築士 坂口晃一