消費税の仕入税額控除の計算方法と不動産取引の注意例

掲載日 : 2013年4月22日

消費税の納付税額を算定するには、売上等によって預かった消費税から、仕入等によって支払った消費税を差し引く、仕入税額控除の手続きが必要になります。不動産に関係する取引はそうそう頻繁には発生しないかもしれませんが、金額が大きいので注意が必要です。

仕入の税額控除計算方法には、以下の3通りがあります。

  • 全額控除(課税売上割合95%以上かつ課税売上高5億円以下の場合)
  • 個別対応方式
  • 一括比例配分方式

全額控除
95%ルールと言われ、従来は課税売上高の制限が無かったため、多くの企業はこの方法によっていました。この方法は、課税仕入税額の全額を控除する簡便的な方法だったのですが、平成24年4月1日以降開始事業年度から、上記の課税売上規模による制限が加わりました。小規模な会社だけの特典です。

個別対応方式
課税仕入を課税売上に対応するもの、非課税売上に対応するもの、共通に対応するものにそれぞれ区分して、課税売上に対応する課税仕入税額と共通対応の課税仕入税額のうち課税売売上割合を乗じた金額を控除します。それぞれの取引について区分をわける作業が必要になり、手続きが煩雑になりますが、一般的に③一括比例配分方式より納税額が少なくなります。

一括比例配分方式
個別対応方式のような区分は行わず、課税仕入税額全体に課税売上割合を乗じた金額を控除します。区分が必要ないので、①全額控除と同様に手続が簡便ですみます。但し、一度採用すると2年間の継続適用が必要です。

一般的には個別対応方式により計算した方が、納税額が少なくなりますから、個別対応方式を採用することによる事務負担の増加と納付税額の減少効果を比較して、仕入税額控除の方法を選択することになります。また、一括比例配分方式を適用した場合には、2年間以上継続する必要がありますので、検討の際、注意が必要です。

以下、不動産関連取引に関する具体的な注意例です。

A.住宅の貸付のために建物を取得
→非課税売上(住宅貸付)に対応する課税仕入(建物取得)が増加

個別対応方式では、非課税売上に対応する課税仕入は控除できないので、一括比例配分方式が優利になる可能性があります。

B.土地の売却
→非課税売上(土地の売却)が増加するので課税売上割合(課税売上/課税売上+非課税売上)が下落

一括比例配分方式を採用していた場合には、控除税額が減少し、納税額が増加します。一括比例配分方式は2年間変更できないので、その間に急に土地を売ることになると影響が大きくなる場合があります。

【コラム執筆者】
奥谷公認会計士事務所
会計士 奥谷尚吾