契約書を公正証書にするメリットは?

掲載日 : 2013年1月9日

公正証書とは
「公正証書」は、広義では、住民票や不動産登記簿のような「公務員がその権限に基づいて作成した文書」をいいますが、ここでは、公証人が証書として作成した、「法律行為に関する公正証書」(公証人法1条参照)について説明します。

契約は書面にしなければ無効なのですか?
多くの人は、大事なことを取り決めるときには「契約書」を作らないといけない、と思っていると思います。しかしながら、多くの契約は、当事者の「合意」によって成立しますので、いわゆる「口約束」でも、立派に契約は成立しているのです。
それでも書面にするのはなぜか?これは、後に契約の成立・不成立や、契約の内容について争いになったときのための証拠にするためです。「言った・言わない」でもめないよう、「合意」の内容を書面化したものが契約書です。

※口頭のみで成立する契約を「諾成契約(だくせいけいやく)」といい、これに対して契約の成立に物の引渡しが必要な「要物契約(ようぶつけいやく)」というものもありますが、上記は「諾成契約」を前提とした記述です。正確なことを調べたい方は、民法の文献等をご参照ください。

契約書を公正証書にする意義は?
上記のように、口頭でも契約は成立しますから、それを書面にすれば完璧かに思われますが、私的に取り交わした契約書では、強制力がありません。たとえば、AさんがBさんから100万円を借りて、3か月後に全額を返す、と、きちんと借用書も差し入れました。しかし、期限が来てもAさんはお金を返してくれません。

この場合にBさんは、強制執行(Aさんの持っている不動産や、Aさんの給料を差し押さえたりすること)をしてAさんから貸金を回収したいと思っても、当事者同士で取り交わした契約書があるだけでは強制執行はできません。強制執行をするためには、訴訟などをして裁判所から「借用書のとおり100万円を支払え」という判決をもらわなければなりません。

しかしながら、はじめにAさんから借用書を差し入れてもらうときに、それを公証役場で「公正証書」にしておき、その公正証書に「債務者が債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する」という文言(「執行認諾文言」といいます)を入れてもらっておけば、Aさんの支払が滞った場合に、裁判所の手続を経ずに強制執行をすることが可能となります。

このように、金銭の支払いを目的とする請求権について、支払いが滞った場合に直ちに強制執行を可能とすることが、契約書を公正証書にする意義だといえます。
執行証書にできる要件、具体的な手続等は、専門家にご相談ください。

【コラム執筆者】
フォーゲル綜合法律事務所 堺事務所
弁護士 藤田 さえ子