居住用不動産の親族間共有の落とし穴~共有物分割請求のリスク

掲載日 : 2012年12月17日

居住用不動産を親族間の共有としているケースをよく見かけます。

親が子の自宅不動産の購入資金を拠出したため親子間の共有とした場合、遺産分割で子らの共有とした場合等、理由は様々です。

しかし、共有者である親族間の関係が悪化すると、共有不動産を巡って紛争に発展するおそれがあり、注意が必要です。

紛争の端緒~共有物分割請求
共有者は、いつでも他の共有者に対して共有物の分割を請求することができ(民法256条1項本文)、分割の方法について共有者間で協議が調わないときは裁判所に分割を請求することができます(民法258条1項)。

分割の方法は、以下の3つです。

現物分割 財産を現物で分割する方法。
(例えば、1筆の土地が2名の共有となっている場合に、土地2筆に分けて各共有者に取得させる方法)
価格賠償 共有者1名の単独所有とする代わりに他の共有者に対して共有持分の価格に応じた金銭的補償を行う方法。
代金分割 当該共有物を売却(裁判においては競売)し、その代金を共有持分に応じて分割する方法。

居住用不動産の分割方法は?
裁判での共有物分割は「現物分割」の方法が原則ですが、居住用土地建物の場合、不動産の全てが居住という1つの用法に用いられているため複数に現物分割するのは現実的ではありません。

そのため、居住用土地建物の分割は、価格賠償によるか、競売での代金分割によることになりますが、いずれにせよ居住を継続してきた共有者にとって大きなダメージとなります。

当該不動産での居住を継続するには価額賠償をするための資金を用意して当該不動産を取得しなければなりませんし、それができなければ競売による代金分割となってしまい、今まで居住してきた不動産を手放し明け渡す事態にもなり得るからです。

傾向と対策
以上の事態は、特に当該不動産に居住していない共有者がおり、当該共有者から共有物分割の請求がなされる形で起こる傾向があります。

そのため、居住用不動産の共有者は当該不動産に居住する者で固めておくことが基本であり、共有者間の関係が良好なうちに共有を解消し又は共有となるのを予防する対策を講じておくべきです。

実際に紛争となった場合は、競売による代金分割での各共有者の手取額を不動産の査定や 鑑定を踏まえて予想しながら、共有持分の買取を目指して交渉することが基本となります。
但し、居住者である持分権者の居住継続への期待や資力、分割請求者側における分割による資金取得の必要性等の事情を総合的に勘 案し、訴訟による共有物分割請求が権利濫用にあるとして棄却している裁判例もありますので、弁護士に相談することをお勧めします。

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【コラム執筆者】
弁護士法人古家野法律事務所
弁護士 古家野 彰平