中小企業の民事再生手続について(3)相談はお早めに!

掲載日 : 2012年12月14日

民事再生手続の現実
民事再生手続は、事業再生手段としてはかなり強力なものとして、制定当時から注目されております。しかし、現実には、民事再生手続が「倒産手続」の一種に分類されていることから、実際にも申立により「事実上倒産した」と報道されてしまいます。そのため、外部的には破産などと同様の倒産状態に陥ったと理解され、事業価値が大いに毀損されてしまう可能性を内包しています。また、民事再生手続の申立により、従前の取引先との関係が悪化してしまい、民事再生に協力を得られないこともあります。
また、そのような要因を含む何らかの事情により、申立を行ったものの民事再生手続が頓挫し、再生計画を策定できなかったり、策定した再生計画について債権者に否決されてしまったりしたような場合には、民事再生手続が廃止されて破産手続に移行するという、非常にリスクの高い手続でもあります。
従いまして、民事再生手続の申立を検討する際には、自社の状況(負債額、債権者総数、取引先・メインバンクの動向、資産状況、事業の状況など)を正確に把握し、再生計画を提出し、実行しうる体力があるのか、スポンサー候補が見つかる可能性があるのか、さらにはメインバンクなど大口の債権者や取引先が協力・賛成してくれる見込みがあるのかという点などを、慎重に検討する必要があります。

民事再生手続の申立ては、申立書面や会計資料の作成、裁判所への事前相談、債権者やスポンサー候補との事前交渉など、非常にタイトなスケジュールとなるのが通例です。さらに、手形決済や強制執行などのタイムリミットが生じている場合には、相談を受けるや否や申立準備に入らなければならない場合も稀ではありません。従いまして、民事再生手続の利用を検討している場合は、できる限り早期に弁護士に相談し、申立が可能であるか否かを判断する必要があります。<.br />
また、申立てには弁護士や公認会計士・税理士のほか、不動産の鑑定が必要な場合は不動産鑑定士などの関与が必須となるため、その費用が必要となるほか、裁判所に予納する予納金が、負債額に応じて300万円から、場合によっては1,000万円以上必要となります(大阪地裁の場合)。従いまして、このような申立費用が確保できている時点(つまり、手持ち現金がほとんどなくなるほど事業が毀損していない時点)で弁護士に相談しなければなりません。

以上の通り、民事再生手続は、最終的には破産という清算型の倒産手続に移行するリスクや、「事実上倒産した」と報道されるリスクを内包しつつも、全債権者の同意を得ることなく大幅な債務圧縮を可能とする非常に強力な手続です。たとえば、自社には収益を生む競争力のある事業があるのに、過去の負債のせいで利払いや返済に追われているような場合には、企業活動が完全に毀損してしまう前に、申立実績のある弁護士に相談するなどして、その利用を検討してみられてはいかがでしょうか。

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【コラム執筆者】
ソラリス法律事務所
弁護士 松村 直哉