中小企業の民事再生手続について(1)概要

掲載日 : 2012年12月12日

民事再生手続きとは
民事再生手続は、経済的な窮地に陥った企業が、裁判所の関与の下、事業を継続しながら、会社の再建を図る法的手続です。
民事再生手続は、最終的には「再生計画」に従って、債権者に負債の一部を弁済して残額の免除を受けることで、負債の負担を軽減しつつ、収益性のある事業を継続することにより、廃業に伴う技術・ノウハウ・生産設備・雇用などの社会的資源の損失を抑制することができます。

民事再生手続きの特徴(メリット)
この手続の特徴は、①事業を中止して財産の分配を行う破産や特別清算とは異なり、事業を継続するという点と、②同じ事業継続型の手続きである会社更生手続が、申立時の経営陣が退いた上で更生管財人に経営権を渡さなければならず、手続も非常に厳格であるのに対し、申立時の経営陣が原則として引き続き会社の経営を担い、迅速に処理が進むという点にあります。

また、民事再生手続を申立てる際には、同時に「保全命令」の申立を行うことにより、申立会社への取り立てや強制執行、不渡処分などを防ぐことができます。そのうえで、民事再生手続の開始決定を得られれば、ほとんどの場合、裁判所が選定した監督委員による監督の下で(一定の行為については監督委員の同意を要します)、従前の経営陣による経営を継続することができます(例外的に裁判所が管財人を選任することもあります)。そのため、民事再生手続は、会社経営が行き詰まりそうになった会社の経営者が、会社を存続させるとともに自らの地位を保全するための、最後の手段として検討するのが通例です。

申立後の手続
民事再生手続を申し立てた企業は、裁判所が定める期限までに、自社の財産の価値を評価し(財産評定といいます。)、財産状況報告書を提出するとともに、債権調査とそれに対する認否を通じて負債額を確定したうえで、債権者に対する負債をどの程度、どのような方法で支払うのかという「再生計画案」を裁判所に提出しなければなりません。
この再生計画案については、債権者集会を開催して決議を行い、債権者の数と債権額のいずれもの過半数の賛成を得る必要があります。

民事再生手続により、どの程度の負債の圧縮が可能であるかについては、破産手続を選択した場合の配当率(破産配当率)をどの程度上回るかを参考に、最終的には再生計画案に対する決議を通じて債権者の判断を仰ぐことにより決まります。
逆に言えば、再生計画に記載された配当率が、破産配当率を下回った場合には、再生計画について債権者の理解を得ることは事実上困難です。

なお、担保付債権(不動産担保借入やリースなど)については、担保権の実行は原則として民事再生手続によっても妨げられませんので、別途の考慮を要する点は注意が必要です。

【関連コラム】
中小企業の民事再生手続について(2)「自力再建型」と「スポンサー型」
中小企業の民事再生手続について(3)相談はお早めに!

個人再生手続とは?
破産とは?申立手続とながれ

不動産を残したまま借金を清算したい
「破産」と「免責」は違うの?

【コラム執筆者】
ソラリス法律事務所
弁護士 松村 直哉