再生可能エネルギー(太陽光)の固定価格買取制度とグリーン投資減税③太陽光発電設備投資事案の検討について

掲載日 : 2012年12月11日

今回は太陽光発電設備(10kw以上)の投資を検討するうえでの留意点についてお話させていただこうと思います。

イニシャルコスト(建設費)
発電設備の内容は設備の規模により異なりますが、概ね下記の通りです。

  • 太陽光パネル
  • パワーコンディショナー
    太陽光パネルで発電した電気を直流から交流に変換する機械装置
  • EPCコスト(設計、調達、建設に係るコスト)
    太陽光パネルを設置する架台、設計・施工、電気配線工事
  • 系統連携費用など
    電力会社の配電線網に接続するための費用、アクセス検討料など
  • 設備廃棄費用
    「調達価格等委員会」はH24年度の調達価格を決定するにあたっての意見書において建設費を32.5万円/kwとしております(第2回コラム参照)。

太陽光パネルについては国産のみならずドイツ、中国、韓国、インド製などの海外製品も参入し、国際的な過当な価格競争のもとで価格が急速に下がっています。一方、パワーコンディショナー、EPCコストについては、現在の日本が空前の売り手市場であることで高止まりしていることもあり、今後のコストダウンの余地は大きいといわれています。

発電売上(調達価格×年間発電量)
実務においては、年間発電量についてNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公開している日本全国の日射量データベースをもとに太陽光パネルメーカーが設置場所の方位、パネルの傾斜角などを考慮して提示することが多いようです。

 

ランニングコスト(運転維持管理費)

  • 保守メンテナンス
    パワーコンディショナー保守、草刈りなど
  • 電気技術者費用
  • 損害保険料、償却資産税、事業税
    発電事業の事業税については、原則として所得ではなく、収入を課税標準として課税が行われます。
  • 土地賃借料

「調達価格等委員会」はH24年度の調達価格を決定するにあたっての意見書において運転維持管理費を1万円/kwとしております。(第2回コラム参照)

減価償却
法定耐用年数17年(機械装置 31電気業用設備 その他の設備 主として金属性のもの)により減価償却が行われるものと思われます。

投資収益率(IRRなど)
「調達価格等委員会」はH24年度の調達価格を決定するにあたっての意見書において太陽光(10kw以上)の税引前IRRを6%としておりますが、これは太陽光発電のリスクの小ささを反映して他のエネルギーに較べて低めのIRRとなっていると説明しています (平成24年4月11日 資源エネルギー庁「資料.ヒヤリング結果」より)。
上記の通り、投資収益率は発電量、イニシャルコスト、ランニングコストにより決まりますが、この3要素については、実際には投資案件ごとに大きなばらつきがあり、私が関与した数件の事案においても税前IRRで6%~12%の幅がありました。

不動産投資との比較
不動産投資の場合は投資金額のうち建物部分のみが定額法による減価償却の対象となりますが、太陽光発電設備は機械装置として定率法により投資金額の全額が償却できるため、初期段階において多額の減価償却費を計上することができ、その節税効果により不動産投資より収支がよくなる傾向があります。

長期投資であることのリスク
投資期間が20年と長期間に渡ることの重要なリスクのひとつとして、現在国際的な過当競争下にある国内外の太陽光パネルメーカーが20年間に渡りパネルの生産及びを保守メンテナンスを継続できるのかということがよく議論されます。
そんな中で、国内の信用力のある大手商社、EPC等が太陽光パネルの供給を含めて保証するなどの動きもあるようです。

【関連コラム】
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固定価格買取制度2年目の再エネビジネスの動向

【コラム執筆者】
内橋慎一税理士事務所 
税理士 内橋 慎一