「破産」と「免責」は違うの?

掲載日 : 2012年11月8日

債務の問題で法律相談を訪れる方も多いと思いますが、相談を担当した弁護士に、「破産」「免責」とごく当たり前のように口にされると「それって何ですか?」と聞きづらいですよね。
しかし、「破産」も「免責」も法律用語ですので、なんとな~くのイメージを持っていても、正確な意味をご存知ではない方も多いのではないかと思います。

破産とは
「破産」というのは、債務者が経済的に破たんして、債務の全額を返せない状態になったときに、債務者の全財産をお金に換えて、そのお金を総債権者に対して配当する手続です。(専門家コラム、「破産とは?申立手続とながれ」参照)。
もっとも、個人の自己破産の場合は、配当する財産が全くないことも多く、その場合には、申立と同時に破産の手続が終了します。ここまでの、債務者の財産がある場合には、それを債権者に配当するための手続のことを「破産」といってよいでしょう。

免責とは
「免責」というのはその先です。「破産」は、債務者の財産を配当するところまでの手続なので、債権者に配当をしても返せなかった債務については、まだ残っていることになります。その、配当をしても残った債務について、法律的な支払責任を免除する手続が「免責」なのです。

「免責」は、不誠実ではない個人破産者の経済的な更生を図るため、破産手続による配当でも弁済されなかった破産債権について破産者の責任を免除する制度です。
この制度は、一方では破産債権者の犠牲のうえに成り立つ制度であるため、誠実な債権者でなければ「免責」を受けることはできません。

誠実な債権者であるかどうかをチェックするため、大阪地方裁判所で使っている書式では、「免責不許可事由」の調査のために、代表的な免責不許可事由の有無について、破産手続を申し立てた人に必ず報告をさせることになっています(下図参照)。これらに該当すれば、免責が許可されないこともあるので注意しましょう。
特に、あまり意識せずに行われているのが、「偏頗行為」です。金融機関からの借金については返さずに、親や知人の借金だけを返すことも「偏頗行為」として免責不許可の対象ともなりますので、気をつけて下さい。

浪 費 おおむね1回2万円以上の飲食・飲酒
投資・投機及びネットワークビジネス・マルチ商法等
過去3年間購入価格10万円以上の商品購入
ギャンブル
廉価処分 クレジットカード等で商品を購入して安く売って現金化していないか
偏頗行為
(へんぱこうい)
全部の債権が支払えないのに特定の債権者にだけ支払っていないか
詐 術 人の名前を使って借りたり、生年月日や信用状態を偽って借金をしたりしていないか

免責決定が出されたとしても、免責されない債権もあります。
たとえば、税金、罰金、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権、故意または重大な過失によって加えた人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権、養育費、等々です。
詳しいことは、専門家にご相談ください。

【コラム執筆者】
フォーゲル綜合法律事務所 堺事務所
弁護士 藤田 さえ子